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従業員向けと人事部門向けのテクノロジーデザイン

原文「Designing Technology for the Workforce vs. HR

ソリューションプロバイダーは長きに渡ってHRテクノロジーを開発してきました。まず、カスタムビルドのソリューションで、開発された最初のビジネスアプリケーションは人事給与システムです。その後、ベンダーはメインフレーム(McCormack&Dodge、MSA、Tesseract)とミニコンピュータベース(Cyborg、Lawson、Ross Systems)のパッケージアプリケーションを開発しました。次に、クライアント/サーバーアプリケーション(Oracle、PeopleSoft、SAP R/3)が登場しました。現在、サービスとしてのSaaSソリューションがあります。これらすべての世代のソリューションに共通するのは、人事プロセスを自動化するためにデザインされたということです。

デザインの必須要件は、人事部門への情報の質とスピードを向上させることでした。そのため、情報源に最も近い工程、つまり従業員とマネージャーにデータ入力させる必要がありました。したがってベンダーはソリューションに自らの情報を入力させる、セルフサービス機能を追加しました。ただし、それは人事部門の効率化を目的し、従業員やマネージャーのエクスペリエンスを実際に改善するものではありませんでした。そのため、従業員やマネージャーにとってセルフサービスツールは、十分ではありませんでした。

幸いなことに、現在のSaaSアプリケーションは、従業員とマネージャーを中心とした異なるデザインの視点が始まっており、その副産物として人事部門が必要とするものを提供するため、状況は変化し始めています。問題は、誰もが同じようにすることができるということです。実際すべてのベンダーが同じような機能を実装しています。しかし「言うは易く、行うは難し」です。ベンダーがそう言うからといって実際に行われるものではありません。本当に重要なのは、機能が存在するかではなく、どのように機能するかです。そして、その機能は誰のためにデザインされているのか、そしてそのデザインが解決すべき問題をどのように定義しているかによって決まります。

人事部門のためではなく従業員のためにデザインされたソリューションを見分けるための3つのヒントを次に示します。


ソリューションは、従業員とマネージャーが抱える問題を解決しますか?

企業のほとんどは、従来の人事アプリケーションを使用しています。最初にパッケージ化されたアプリケーションは、主にリレーショナルデータベースを使用してデータを格納していました。ユーザーインターフェイスはそれを反映しており、リスト、テーブル、フォーム(基本的にはリレーショナルデータベースの仕組み)で構成されていました。ターゲットユーザーは、従業員データを正確に追跡し、レポートする必要がある人事管理者でした。人事部門にとっては素晴らしいことでしたが、従業員やマネージャーに直接的な価値を与えることは残念ながらありませんでした。従来の人事アプリケーションから個人的な価値を得ることができないので、やがて使われないようになります。

従業員とマネージャー向けのセルフサービス機能が登場したのは、人事部門および他部門が入力工程をソース(従業員とマネージャー)に近づけるとデータ品質が向上することを認識したためです。人事部門にとって従業員が自分の個人情報を自分で更新することは素晴らしいことでした。いつ新しい住所へ引っ越したなどの、いつ、何を変更したかを従業員が知っており、正確に入力できるからです。これは、従業員が紙に記入してから人事部門の誰かがデータ入力するよりもはるかに優れていました。しかし、従業員にとってみると、自分で入力するのは手間がかかり、しかも従業員は入力した以上のメリットがありませんでした。

実際の従業員中心のアプリケーションは異なるアプローチから始まります。つまり経験の中心にいる従業員とマネージャーからデザインしています。従業員らは何が必要なのか?彼らはその経験から何を求めるのか?具体的な問題は何か?彼らの目標と目的は何か?人事部門に必要なデータはその副産物です。もちろんそれは依然として重要ですが、データはコアユーザーの行動の結果として生成されるべきです。良いニュースは、従業員やマネージャーから強い支持が得られると、より高品質のデータを利用できるようになるということです。


ソリューションはデータを使用してエクスペリエンスをパーソナライズできますか?

従業員とマネージャーによるセルフサービス機能の支持がまったく得られなかったもう1つの重要な理由は、それが非常に画一的、一般的であったことです。従来のアプリケーションではデータ入力だけなので、すべての従業員とマネージャーをすべて同じように扱いました。また従来のアプリケーションは、プロセスを自動化したり、スケーリングすることが目的であり、従業員に新たな価値を提供することではありませんでした。例えば、ほとんどの従来のLMS(学習管理システム)の目的は、トレーニング部門が実施したすべてのコースと、承認されたトレーニング履歴を追跡できるようにすることでした。その場合、かなり画一的な従業員の経験を得ることになり、次の図のような経験が得られます


ベンダー視点としての良いニュースは、すべての学習者のために十分画一的な機能であるということです。悪いニュースは、このことが実際に学習者を引き付けないことです。学習者の視点から考える場合、従業員個人毎に関連することです。どうやってやるのでしょうか?それはデータを活用することです。次の図のような最新のアプリケーションについて考えてみてください


従業員はコース、記事、ビデオ、ポッドキャスト、SME(分野専門家)、メンターなどのリソースを意図的に検索する必要はなく、システムは従業員個人に関連するものを自動的に推奨します。またフォームに大量のデータを入力する必要もありません。行動すべき、または学ぶべき学習の機会が学習者に提示されます。


この経験は従来のコース提供だけではありませんので、非常に異なった見た目と感覚を受けるでしょう。説明、個人毎の試行錯誤、個人の振り返り、他の人々との相互作用およびフィードバックなど、多くの方法で起こり得る「学習」です。それは単なるインフォーマルラーニングではありません。最新のラーニングソリューションは、プロジェクト、ギグワーク、他の機会についても知ることができるなど、他の能力開発機会と一緒に推奨される機会を提供する経験的な学習を提供します。例えば、Imperial Brands社のアップスキル戦略の重要な要素として、MentorMatchと呼ばれるメンターシッププログラムを作り上げ、職種と希望に基づいて従業員をペアにしました。ある米国の大手金融機関は、リスキルファンネルプログラムを作り上げました。このプログラムにより、従業員は新しく学んだスキルを様々なチームの挑戦的プロジェクトに割り当て、身に着けたスキルを実践できます。


ソリューションは従業員とマネージャーをガイドしますか?

これは、データ入力やワークフローが必要ないということではありません。時にはまだ存在しますが、あくまでも二次的なものです。それは従業員との出会いをサポートするものです。その従業員が遂行する必要があるかもしれないタスクは、必ずしもその従業員がするものではありません。例えば、挑戦的なプロジェクトに果敢にチャレンジしない場合もあります。したがって、システムはその従業員のタスクを可能な限り簡単にする必要があります。最新アプリケーションは次の図の方法で従業員(マネージャー、契約社員)をガイドします

これはまだ「セルフサービス」です。まだデータ入力もあります。まだワークフローと承認があります。それらは無くなりませんが従業員は価値があると感じます。それが違いです。また、優れたエクスペリエンスは従業員やマネージャーに価値をもたらすため支持を得られます。したがって企業組織が新しいソリューションを検討している場合は、この3つのヒントを参考に、優れた従業員体験を提供する最新アプリケーションを選定してください。次回の筆者のブログ投稿では、最新アプリケーションによってもたらされる従業員エクスペリエンスをどのようにデザインするかについてご紹介します。

著者について

Jim Holincheckは、HCMテクノロジー業界で25年以上の経験があり、Leapgen社のアドバイザリーサービス担当副社長です。Leapgen社に入社する前は、ベンダー(Workday:サービス戦略と製品管理)、業界アナリスト(GartnerおよびForrester / Giga)、コンサルタント(Accenture)としての経験を積んでいます。

Jimはキャリアを通して顧客と協力して、エンタープライズアプリケーションの導入戦略、選択、実装、サポート、最適化を行ってきました。顧客がエンタープライズソフトウェアへの投資を最大限に活用できるよう支援することは、Jimが非常に情熱を傾けていることです。彼はシカゴのAndersenコンサルティング(現在はAccenture)のソフトウェアインテリジェンスグループでキャリアをスタートさせ、アプリケーション戦略、要件定義、ソフトウェアの選定、導入、サポートなど、財務およびHCMアプリケーションプロジェクトのライフサイクル全体を取り組みました。

Andersenコンサルティングで10年間働いた後、JimはGiga Information Group(Forresterにより買収)に移り、ERPアプリケーションをカバーする業界アナリストとなりました。2000年には、スタートアップであるIQ4hireに参加し、ERP/CRMアプリケーションに関するコンサルティングマーケットプレイスを作り上げました。2002年、JimはHCMマーケットをカバーするアナリストとしてGartner社に入社し、財務、HCM、調達アプリケーションの研究も行いました。Jimは、1988年に電気工学の学士号とMBAを取得してワシントン大学を卒業しました。

Leapgen社について

Leapgen社は、仕事の未来を形作るグローバルデジタルトランスフォーメーション会社です。Leapgen社は、ビジネスに価値ある成果を生み出すデジタルワークフォースエクスペリエンスのデザインと提供を目指す組織の先見の明のあるパートナーとして高く評価されており、従業員の期待とビジネスニーズに応える従業員サービスとHRテクノロジーソリューションをより適切にデザイン、提供する方法を企業の経営層が再考する支援を行っています。

By Jim Holincheck, VP Advisory Services At Leapgen

June 25, 2020

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