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2020年6月29日4 分

eラーニングの費用対効果の計算方法

最終更新: 2023年11月22日

原文「How To Calculate the Cost-Benefit of E-Learning

従業員のパフォーマンスを改善する手段としてeラーニングを作成・配信する企業が多いと思います。eラーニングコースの主たる目的は、従業員の仕事の進め方を改善する知識とスキルを提供することですが、もしeラーニングコースで業務パフォーマンスや収益が改善できない場合、企業はeラーニングに投資しないでしょう。

そのため、eラーニングコースの開発を開始する前に、eラーニングコースの費用対効果を計算することが重要です。eラーニングコースがもたらす利益が、開発コストを上回ることを事前に示したいと皆さん思うはずです。

コースの費用対効果を計算する際に考慮すべき事項を次に示します。

コスト

設計、開発、配信

eラーニングコースの設計、開発、配信に関連するコストの計算には、多くの要因が関与します。様々な役職の時間給を計算し、給与を時間給に変換するためにいくつかの計算を行うために、人事部に確認する必要があるかもしれません。考慮する費用は次のとおりです。

  • ソフトウェア/ハードウェアのコスト(Software/Hardware Costs)
     
    例えば、新しいオーサリングツール、有償の素材写真、新しいマイクの購入など、新たに必要な費用です。

  • 開発時間(Development Time)
     
    開発者の時間給にコース開発に必要な時間数を掛けて、開発時間を計算します。年間給与から時間給を計算することも必要かもしれません。

  • ミーティングとレビューの時間(Meeting and Review Time)
     
    プロジェクトに関係する全員の時間も考慮します。マネージャー、IT部門、SME、原稿作成者、グラフィックデザイナーなどとのミーティングやレビューに費やす時間の費用を計算します。プロジェクトに費やす時間も同様です。

  • 生産時間の損失(Lost Production Time)
     
    受講者がeラーニングコースの受講に費やす時間は、生産時間の損失と呼ばれます。次の式を使用して、生産時間の損失を計算します。
     
     従業員数×時間給×トレーニングの受講時間

これらは考慮する必要がある最小限のコストです。コースを配信するためにLMSやWebページを設定するコストなど、他の要素が存在する場合があります。

eラーニングの開発と配信に関連するコストを特定・計算したら、次はeラーニングによる効果価値を調べる必要があります。

利益

トレーニングから得られる利益

トレーニングから得られる利益を明確にするのは難しい場合がありますが、可能であり、非常に重要です。利益価値を計算するには、1)トレーニングやeラーニングで教授する特定のタスク2)このタスクに関連するパフォーマンス改善による平均利益額/人を特定する必要があります。

これを行ったら、2)の利益額に従業員数と期間を掛けることで総利益がでます。総コスト(Cost of Training総利益(Benefit of Trainingの両方が算出できたら、次の式で表される投資収益率(ROIを計算できます。

より明確に説明するために、例を共有しましょう。

費用対効果分析の例:XYZデリバリー

あなたはXYZデリバリーでトレーニングデザイナーとして業務していると仮定します。過去数か月にわたって、配送ラベルのミスが増加したため、未配達で返品される荷物が増えました。ミスの量を減らすために、配送業務のマネージャーは、出荷ラベルを記入する適切な方法を50人の従業員のための1時間のeラーニングコースを作成したいと考え、同社のトレーニングデザイナーであるあなたに、このコースの費用対効果分析を依頼しました。

最初に、このコースの設計、開発、配信に関連するコストを確認しました。

総コストを確認したので、出荷ラベルの適切な記入方法についてXYZデリバリーの従業員をトレーニングすることによる利益を明確にする必要があります。

教授する特定のタスク:配送ラベルの適切な記入方法。

配送ラベルの記入のパフォーマンスを改善する利益

現在、50人の従業員が配送ラベルで1週間に一人平均1つのミスを起こしていることが調査して判明しました。配送ラベルのミスは、返品配送物ごとに平均15ドルのマイナスコストがXYZデリバリーにかかっていました。

従業員に配送ラベルの適切な記入方法をトレーニングすると、XYZデリバリーは1週間あたり750ドル節約できます(1週間あたり50ミス×15ドル=750ドル)。1か月に4週間、1年に12か月として考えると、XYZデリバリーは出荷ラベルミスによる返品率をゼロに減らすことができれば、年間36,000ドルを節約できます。純利益を計算するには、利益からトレーニングコストを差し引いた、36,000ドル-4000ドル=32,000ドルが純利益です。これらの数値をROI計算に組み込むと次のようになります。

XYZデリバリーは、出荷ラベルのミス率をゼロに減らすようにデザインされたこの1時間のeラーニングコースに投資することで、年間で800%の収益を得ることができます。いくつかの人的ミスによる出荷ラベルミスを考慮しても十分です。繰り返しですが、あくまでもこれは費用対効果分析を説明するための一般的な例です。

費用対効果分析を終え、eラーニングコースのROIを計算するためのこの方法が、あなたの次のプロジェクトで適用できることを願っています。


株式会社ディーシェは日本におけるArticulate製品の販売代理店です


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