
最初はコンピテンシーフレームワークでした。次にスキルタクソノミー(スキル分類法)。どちらも、構築するのが難しく、最新の状態を維持するのが難しいという同じ問題を抱えています。
AIはこのことに役に立つのでしょうか?それを探ってみましょう。
なぜ企業組織にはタクソノミーが必要なのか?
ほとんどの企業にとって、従業員は最大の費用対象(そして資産)です。しかし、企業が従業員にどのように投資するかは、すぐに整合しなくなってしまいます。ジョブディスクリプション、面接プロセス、オンボーディング、パフォーマンス管理、キャリアパスが同期していなければ、混乱が生じます。私の娘のサッカーチームの試合を思い出します。私は子供たちに自分のポジション位置にとどまるよう叫びますが、他の親たちは『ボールを取りにいけー!』と叫ぶのです。その結果、混乱が生じます。
タクソノミーを活用することで、何が重要かを共有することができます。企業は、リソースを整理し(ディスカバリー)、人と機会を結びつけ(マッチング)、活動を洞察に合わせる(レポーティング)ためにタクソノミーを使用します。タクソノミーを活用することで、人材ライフサイクルの各部分を整合することができます。人事の専門家であるDave Ulrich氏は次のように述べています。
『あらゆる学問分野は、持続可能な科学になるために、体系学(別々のものを共通のグループに分類すること)を用いてタクソノミー(分類法:一緒になるものの種類)を作り、進歩を遂げます。』
タクソノミーは曖昧なものを実行可能なものにします。ビジネスリーダーが従業員に「ビジネスセンスを磨け」と言っておきながら、ビジネスセンスが何を意味するのかわからずに放置していませんか?従業員が興味を持っている職務があるにもかかわらず、その職務を得るために必要なステップがわからないということはありませんか?そんなときに役立つのがタクソノミーです。タクソノミーは、複雑なアイデアや課題を、より小さく、より実行しやすいステップに分解します。

スキルタクソノミーとは: 階層型の分類の仕組みで、スキルをグループや「スキルクラスタ」にカテゴライズし、整理することができます。スキルタクソノミーは非常に構造的で、ビジネスの目標にとって最も重要なスキルが含まれることが多く、時にはスキルの定義も含まれます。
実験1:一般的な職務のスキルタクソノミー
まず、AIを使ってかなり一般的な職務のスキルタクソノミーを作ってみましょう。このタクソノミーは、ジョブディスクリプションを書いたり、面接の質問をガイドしたり、トレーニングプログラムを構築したり、パフォーマンスマネジメントにおけるミーティングの会話の基準を形成するのに役立ちます。このプロセスはビデオでご覧いただけます。
このタクソノミーはすぐに完成し、結果も妥当なものになりました。より詳細な階層を簡単に追加したり削除したりすることができました。スキル内のタスクに入ることさえできます。ドリルダウンができるので、必要なだけ詳細な情報を得ることができます。
これは、タクソノミーの取り組みを始めるには最適な場所でしょう。
最大の欠点は、AIが(プロンプトのパラメーターの範囲内で)独自の判断を下し、独自のスキルを考え出すことです。あらかじめ定義されたスキルのリストを使用しないため、ツールやアプリケーション間で共通用語を作成するタクソノミーの能力が制限されます。
真の利点は、AIのダイナミックな機能が企業で使われるスキル用語と組み合わされたときに生まれます。これには特別な実装が必要ですが、間違いなく実現可能であり、今後のDegreed製品チームに注目すべきです。
実験2:特有の職務のためのスキルタクソノミー
どの会社にもユニークな職務があります。ものすごく特殊な職務を選択した場合、AIがどのように能力を発揮するか見てみましょう。前回の実験と同じプロセスを使用した結果がこちらです。

スクリーンショットでは、より詳細なスキルは表示しきれていませんが、編集せずとも、結果は印象的です。これは、特に人事システムやL&Dツールから一般的に良いスキルが提案されないような職種のために、スキルタクソノミーを構築する素晴らしい方法です。
実験3:古いスキルのハイライト
タクソノミーを最新の状態に保つことは、手作業で時間のかかる作業です。AIが力仕事をして、タクソノミーのどのスキルが古くなっているか(例えば、古い技術が記載されている)を特定できるか試してみましょう。
新しいタクソノミーを作るのではありません。その代わりに、既存のタクソノミーをカスタマイズ可能な基準で評価します。まず、「Current:最新」と「Out of Date:古い」の値を持つルーブリックを作成し、AIにルーブリックに従って各スキルを分類してもらいます。
その様子をビデオで紹介します:
1つのスキル「React 16」が「Out of Date:古い」と判定されていることがわかります。Reactは現時点でバージョン18の技術ライブラリなので、React 16にフラグが立ったのは当然です。このようなシステムがあれば、いつ、どこでアップデートが必要かを簡単に特定することができます。
実験4:スキルの需要の増減を強調表示
タクソノミーを人材の意思決定に役立てるには、どのスキルの重要性が高まっているかがわかれば便利です。別のカスタムルーブリックを作成し、AIがどのスキルの需要が増加しているのか、または減少しているのかを特定できるかどうかを見てみましょう。
これがその結果です:


この種の分析で忘れてはならないのは、LLM(大規模言語モデル)のトレーニングデータは1年以上前のものである可能性があるということです(GPT-4 Turboは2023年4月など)。LLMに検索エンジンからの情報を提供し、最新の情報を与える技術があります。これは、将来的な予測を立てようとする場合に特に有効でしょう。
また、この分析は、社内の採用システムやラーニングシステムから得た自社の内部データと組み合わせれば、より強力なものになるでしょう。
実験5:AIがスキルに与える影響を強調する
アップスキリングには時間がかかるため、スキルがどのように変化するかを予測することは有益です。この場合、どのスキルやタスクがAIによって影響を受ける可能性が高いか低いかを確認したいと思います。そうすることで、適切なスキリングに関する取り組みを計画することができます。
別のカスタムルーブリックを作成した結果がこちらです:

ここでも、かなり妥当な結果が得られています。この種の詳細な分析では、異なるプロンプトのテクニックを使用することで、結果を改善できる可能性があります。思考の連鎖推論(LLMに一歩ずつ問題にアプローチさせる)、マルチショットプロンプト(プロンプトの中で良い結果の例を提示する)、マルチエージェント(複数のLLMが協力して分析を行う)のようなテクニックを使えば、さらに良い結果が得られるでしょう。
実験6:スキルに対するユーザの進歩の表示
ここまでは、管理者レベルでタクソノミーを使用し、会社全体の人材にかんする計画や整理を行ってきました。次に、タクソノミーのもう一つの利点である、目標をより実行可能な項目に分解する能力を探ってみましょう。これは、学習指導や進捗測定の方法として、従業員レベルで役立ちます。
ここでは、従業員の各ステップの習得レベルを反映したタクソノミーを視覚化しています。


この例は、ChatGPTのような汎用的なツールでは得られない、パーソナライズされたものを作成するために、AI機能と従業員データを組み合わせることの威力を強調しているので、とても気に入っています。
実験7:パーソナライズラーニングを導くためのタクソノミーの使用
前述の実験で見たように、タクソノミーは個人レベルでも役に立ちます。次の実験では個人的なユースケースを使用します。私は写真術を学ぼうとしていますが、何から始めたらいいのかわかりません。
ここでは、私の所有するカメラに基づいて、私のためにパーソナライズされた学習プランを作成するようAIに依頼しました:

これは本当にいいアウトラインだと思います。私はいくつかの項目を削除し、残った項目でより深く学んで行きたいと思います。しかし、このアウトラインができたので、「例を見せて」とか「これを練習する方法を教えて」といったアクションを追加することが想像できます。私の撮った写真を分析して、改善すべきスキルを強調してもらうこともできます。また、このアウトラインを使ってアセスメントを作成し、各スキルのベースラインとなる習熟度を知ることもできます。
ここには多くの可能性があると思います。これによって、パーソナライズされたダイナミックなスキル開発に近づけるかもしれません。
どう思いますか?
AIが生成するタクソノミーには、潜在的なプラス面や、あまりに困難なマイナス面があると思いますか?ご意見、ご感想、または独自のタクソノミーを構築したい方は、tblake@degreed.comまでご連絡ください。最新の情報は、LinkedInでフォローしてください。
タクソノミーについてもっと知りたいですか?
Degreedプロフェッショナルサービスチームは無料コンサルティングを提供しています。Degreedプロフェッショナルサービスチームは、トランザクショナルサービスを提供するのではなく、お客様のパートナーとして行動することに重点を置いています。あなたの学習戦略、技術目標、タクソノミーに関する疑問について一緒に考えてみましょう。

私たちと一緒に実験していただきありがとうございます。
また次回お会いしましょう。
これは定期シリーズの2番目のブログです。最初のブログ「新しいテクノロジーを検証するDegreed Experiments」もお読みください。
By Taylor Blake, May 7, 2024
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