top of page
  • 執筆者の写真DISCE

不況に打ち勝つ:人材開発を事業と連動し、予算を確保する

更新日:2023年11月27日


人材開発(L&D)担当者が聞きたくない悪いニュースです。厳しい時代に入っており、あらゆるところで予算などの削減が行われていますが、その中には学習に関するものも含まれています。


Covid-19に端を発した財政難は、今や不況の脅威と相まって、企業の収益を壊滅させ、あらゆるビジネスユニットを消滅させかねない状況です。世界中の企業組織は、経済的な流砂の上で活動しています。このような状況下では、L&Dプログラムは簡単に中止されてしまいます。


予算を維持することは必須です。貴社組織が再び不況を生き残るためには、優秀な人材を支援し、維持し、アップスキリングして、競争に打ち勝つための学習が必要です。


人材開発(L&D)が不可欠であり続けたいのであれば、今こそ、学習とビジネス全体の最も重要な目標とを密接に連携させる時です。



ビジネス目標との連動には理解が必要


どこから始めればいいのでしょうか?短期的な視野に立ち、現在と次の四半期の重要なビジネス目標に合わせて人材開発施策を調整することです。このように緊急性を持って考えることで、適切な人材に適切な仕事をできるだけ早くさせることができるのです。


『経営陣が求める第一の指標はビジネスインパクトです。2つ目がROIです。』と、アナリティクスの専門家であるJack Phillips氏と元電力会社役員のPatti Phillips氏は「Chief Learning Officer」誌で述べています。


人事部門が事業部門と緊密に連携し、個別での予算要求はしないという状況を想像してください。IT部門が新しいシステムを導入する際、IT予算の一部として、社内のL&Dチームと共同で調達・構築する導入時トレーニングプログラムもIT部門が申請する予算に含まれます。あるいは、営業部門のリーダーが新しい事業テリトリーに進出しようとするとき、学習部門チームからの支援を受けられるように営業支援プログラムも含めた予算を申請します。


『多くの経営者は、学習は投資ではなく、コストだと考えています。このような場合、彼らはリソースを節約するためにコストを削減しがちです。』とPhillips夫妻は述べています。



今日、連動するには、不況を考慮する必要がある


Phillips夫妻によれば、危機に瀕しているプログラムは、通常、4つのカテゴリーのうちの1つに分類されるとのことです。

  1. 高額な教育プログラム(コスト削減の対象として最適)

  2. コミュニケーションなどのソフトスキルの取り組み (しばしば「あやふやなモノ」とみなされる)

  3. 長期的なプログラム、文化変革のためのプログラム

  4. 先送りされやすいもの(新しい取り組みを含む)


削減を防ぎたい人材開発(L&D)部門のリーダーとしては、具体的なリスクを特定し、防御策を練り、どのプログラムを削減しても耐えられるかを判断することが重要です。


Phillips夫妻は、いくつかの重要なアクションを挙げています。


1. 支持者を集める


予算の決定は、通常一人で行うものではありません。L&D部門リーダーは、あらゆる支援を要請する必要があります。


『トップリーダーが最終的な承認をするかもしれませんが、他の経営陣もその決定に影響を与えます。オペレーション部門やマーケティング部門など、組織内のさまざまな部門と協力して成功した主要プロジェクトについて考えてみてください。その成功があれば、予算会議で各部門のリーダーにL&D予算の支援を求めることができるのです。』


2. 時間を確保する


議論や分析なしに予算削減が実施されることは稀です。時間を使って防衛策を強化することができます。『ほとんどの経営陣はその時間を許してくれるでしょう。』


3. インパクトとROIを示す


プロジェクトに投入した以上の成果が得られると経営幹部に納得させることができれば、他の予算を節約したり、獲得したりすることができるかもしれません。信頼できるROI予測を作成し、共有することが必要かもしれません。そして、このようなことを言っているのはPhillips夫妻だけではありません。L&D分野のリーダーたちは、このアプローチを支持しています。シニアL&DマネージャーのMegan Dillon氏は『金銭的メリットに結びつけなさい。』と言っています。


正しい測定基準、つまり従来の人材開発(L&D)の方法論以上の成功測定を行うデータポイントが、人材開発チームのストーリーに新しい生命と価値を吹き込むことができると、私たちDegreedは付け加えさせていただきます。


DegreedのSenior Vice President & Global Business Transformation OfficerのSusie Leeは、『新しい測定基準を使って新しい方法で人材開発ストーリーを語ることは、経営陣の注目を集め、学習プログラムを重要なビジネス優先事項にすることができます。』と述べています。彼女はL&D担当者に、学習、人材開発、キャリアモビリティの価値と影響を強化する測定基準を伝えるよう促しています。『それは、企業の最優先事項や最大の目標であり、人材への投資が企業の目標達成にどのように役立つかを示すことです。』


DegreedのCEO、共同設立者であるDavid BlakeとDegreedのChief Learning & Talent OfficerであるKelly Palmerは、その共著「The Expertise Economy」の中で、企業の学習部門が収益を生み出す機能ではなく、コストセンターとして見られることが多いことを指摘しています。『学習は通常、戦略的というよりも反応的になります。例えば、ある事業部門のリーダーはコンシャス・バイアスのトレーニングプログラムを求めたり、別の事業部門のリーダーはアジャイル開発のトレーニングプログラムを求め、そして別なリーダーはオンボーディングプログラムを求めるかもしれないからです。』


BlakeとPalmerが指摘するように『事業・ビジネスを理解している強力なラーニングリーダーは、複数のソースからのデータに基づいて・・・戦略を作り上げ、学習がビジネスと従業員の両方に意味のある方法で影響を与えることができる』ことを示すことができます。



正しい測定基準 ~「無関心」を超える~


コースの完了やトレーニング時間をトラッキング・共有しても、CEO、事業部門リーダー、マネージャー、個々の従業員、その他の誰に対しても、学習の価値を効果的に表すことはできません。


労働者一人当たりの学習時間、時間当たりの学習コスト、モダリティ・ミックスなどの効率比率と組み合わせると、これらの測定基準は、従業員が学習イニシアチブとどのように関わっているかについての基本的なストーリーを伝え始めることができます。


しかし、これらの測定基準は、誰かが実際に何かを学んだかどうかを確認するものではありません。


もっとできることがあります。



エンゲージメントのストーリーを語ること


Gallup社のState of the Global Workplace 2022 Reportによると、従業員エンゲージメントの低下は世界経済に7兆8千億ドルの損失を与え、GDPの11%を占めていると言います。96カ国の112,312の事業部門を分析した結果、エンゲージメントとパフォーマンス成果(定着率、生産性、安全性、収益性などを含む)との間に強い関連性があることがわかりました。


エンゲージメントの話は、結局のところ、ビジネスの成果を推進するためのものです。従業員がキャリア開発と成長に個人的に取り組んでいるかどうかを理解することで、イノベーションとエボリューションの文化、つまり収益性を高める文化を生み出しているかどうかを判断することができます。


ラーニングデータに焦点を当てましょう

  • アクティベーション

  • ログイン頻度

  • 月間平均ユーザー数(MAU)とリピーターの有無

  • 課題の作成と完了

  • ネットプロモータースコア(NPS)


ソーシャルストーリーを伝える


ここでの目標は、組織のあらゆるレベルの人々がどのように専門知識を共有しているかを理解することであり、学習は人材開発(L&D)部門主導の体系的なイベントだけではありません。つまり、クラウドソーシング、コラボレーション、ピアツーピアのアップスキリングを通じて、従業員がどのように交流し、互いに助け合っているかを発見することです。また、従業員が誰にガイダンスを仰いでいるかを把握することで、インフルエンサーやエキスパートを見つけ、エンゲージさせ、定着することができます。インフルエンサーやエキスパートの協力があれば、学習コンテンツの調達とキュレーションをより効率的に行うことができます。

  • トレンドのスキルや新しいスキル

  • コンテンツ、人、経験の推奨

  • ログインも含め、ブックマークした従業員の割合など

  • インフルエンサー ・分野専門家(SME)数 ・フォロワー数 ・投稿数 ・組織ネットワーク分析(ONA)


スキルストーリーを伝える


スキルのストーリーを作り上げることで、貴社組織が現在どのようなケイパビリティ(能力)を持ち、またどのようなケイパビリティを必要としているかが明らかになります。これらの指標は「学習プログラムは収益の向上や経費の節約に役立っているか?」という問いに答えるものです。

  • ケイパビリティ(能力)ギャップ

  • 新たに必要なスキル

  • 迅速性(人がどれほどの迅速性で学習しているか)

  • スキルシフト(個人または組織のスキルプロファイルの変化の速さ)

  • スキル価値(需要のあるスキルの金額的換算)

  • スキルコスト回避(社内でのアップスキリングによる採用コスト削減)

  • 次代の労働力の準備

  • タレント人材の特定

  • キャリアモビリティ(社内人材の流動性)

  • トレンド



視野を広く


もし貴社目標が、生き残り、回復し、成長することであるなら、会社が必要とする学習を提供する能力を低下させることは、会社の終焉につながるかもしれません。


『景気が回復して雇用が回復するまでL&Dプログラムを削減したり、部門を削減したりしてきた企業は、時代に取り残されていることに気づくでしょう。』と、Rebel Learn社のオーナーであるラーニング業界のコンサルタントAndrea Maliska氏は言います。


『これらの企業は、新入社員のためのオンボーディングプログラムも、利益を生み出す重要な役割のための階層別トレーニングも、営業部門、サポート部門、製品部門が製品の複雑さを理解して製品をうまく営業、サポート、革新させるための製品トレーニングもないままになってしまいます。』と彼女は述べています。


『かつて人材開発(L&D)プログラムに費やされた費用、時間、努力が、プログラムが削減されたり、サポートが停止されたりすることで、結局火に油を注ぐことのように見えます。優秀なタレント人材を再雇用し、最適な顧客を獲得しようとする事業活動に大きな影響を与える可能性があります。』

 

By Tom Schultz, February 15, 2023

 

Comentarios


bottom of page