筆者が子供の頃、母は多才なピアノ教師でした。あの当時、9歳の私より数年賢かった生徒、Wy-Quonさんを鮮明に覚えています。彼はレッスン時間前にやってきて、自転車用の新しい推進システムを披露し、より効率的な方法としてアピールしました。そのシステムは圧縮空気円筒管が自転車のフレームに取り付けられ、ミニチュアロケットエンジンのように背後に空気を放出し、空気放出量を制御するハンドルバーを備えていました。
彼は、そのシステムが通学時間を3〜4分削減できることを強く主張しました。私はノズルの後ろに手を置いて、放出される空気がそれほどでもないのを感じたので、その仕組みが役に立たないことがわかりました。Wy-Quonさんの努力は立派でしたが、彼は本質的に効率性の向上をほとんど示さない多くの努力をしており、それはまるでハムサンドのために自転車を長くこぎ続けるようなものでした。
非効率的な採用市場
採用市場は一見よさそうですが、最終的には満足できない終わりのない旅のように感じます。現在、HRテクノロジーに数十億ドルが投資されていますが、世界のどのカテゴリーでも最も効率の悪い1つとなっています。またベトナム戦争以来見られた酷い失業率となっています。従業員を雇用し続けることはできますが、人事担当役員にとって職場の維持は依然として最大の関心事であり、人材を保持するコストは上昇しています。
まず企業組織の従業員一人あたりの採用平均コストを見てみましょう。ほとんどの情報リソースは、約4,000ドル程度で推移していると示しています。次に採用率を考えてみましょう。最新の採用率は3.8%です。この雇用率データによると2019年10月単体では米国の580万人が新しい仕事に就いていることになります。そしてその雇用はたった1か月です。年間ベースで算出すると、私が採用市場の非効率性と呼ぶ、2770億ドルものコストがかかっていることがわかります。この総コストは毎年米国で空席となっているポジションを埋めるためのコストです。
これは企業組織レベルでも見ることができます。控えめに見積もってみましょう。2017年のデータによると、ほとんどの企業において、本人意思ではない退職を考慮すると、毎年18%の従業員が退職しています。新たに採用する平均費用が約4,000ドルで、従業員数が50,000人の場合、人材プールを維持するためには3600万ドル(4000ドル × 50000 × 0.18)ものコストが毎年必要になる可能性があります。この数字は、例え半分に見積もったとしても信じられない額に達します。
内部モビリティが次の開拓分野
採用の仕組みが壊れているのはなぜでしょうか?簡単に言えば、企業は従業員がどのようなスキルを持っているのか把握できておらず、企業内の従業員を空席ポジションとマッチングする構造もありません。また従業員は、社内で自身のスキルや目標をアピールしたり、自身のスキルセットに合ったポジションへの機会を探すことができません。その結果、内部モビリティよりも外部からのリクルーティングの方が障壁が少ないため、企業は内部からではなく外部から雇用しようとします。そして、野心的な従業員は、新しいスキルを活かせ、成長でき、多くの年収を求め、外部の求人広告に目を向けます。
なぜ企業は内部モビリティの仕組みを構築しないのでしょうか?それは企業が従業員のスキルの可視性を持っていないからです。
上述のように、ある企業から別の企業に何百万人もの従業員を入れ替えるトータルコストは驚くべきものです。Degreedプラットフォームのデータに基づくと『採用担当者のオンボーディング』というワードが2019年に最も人気のある検索ワードの1つであり、前年から870%増加したことは驚くことではありません。企業はこれらのスキルギャップを埋めようと必死ですが、そのために外部の採用に頼っています。
この非効率性を減らすには、内部モビリティの問題を解決するために時間と労力をかける必要があります。方法は次のとおりです。
スキルの供給を可視化する。貴社従業員と契約社員が持っているあらゆるレベル、あらゆるスキルを把握してください。
主要なポジションリストを作る。プロジェクト、空席ポジション、主要な取り組みなど、会社が必要とするすべてのジョブポジションをリストします。
社内マーケットプレイスを利用してマッチングする。従業員は自身のスキルと目標をアピールでき、リーダーと採用担当マネージャーは従業員をオープンな内部ポジションとマッチングさせることです。
達成には、長らくサイロ化された人事チームがより緊密に連携する必要があります。タレントチームは、重要なスキルギャップを埋め、人材のパイプラインを充実させるために、L&Dチームと緊密に連携する必要があります。またスキルに基づいて従業員に機会を提供するために、人材採用チームと密接に連携する必要があります。さらにCHROはCOOと協力して、効率的な企業内人材マーケットプレイス構築による、経費削減を示す必要があります。
すべての企業は、本質的には独自の採用市場です。健全な企業は、外部ではなく内部で発生する多くの社内人事異動を持っており、現在の平均社内採用率の15%ではなく、85%の役割を社内で採用しています。次の10年に向かって、この課題を解決する企業は、変化に適応し、リテンションを高め、競争に打ち勝つイノベーティブな耐久性を持つ企業になります。
効率を高め、社内人材の流動性を副業的な利益ではなく中核施策として扱う時です。Degreedが従業員のスキルを可視化するのにどのように役立つかを知りたい場合はお問合せください。
By Jonathan Munk, March 19, 2020
Commentaires