top of page

「学習は仕事になる」時代へ:AI時代の人事の次の役割 ~LENS2026参加レポート~

AIの導入は、多くの企業で進み始めています。一方で、こんな声もよく聞かれます。

「ツールは入れたが、現場で使われない」

「研修はやっているが、行動が変わらない」

「投資に対して成果が見えない」


今回参加したLENS2026では、このような状況に対して非常に示唆的な共通認識がありました。

※LENS2026は、Degreed社が毎年開催しているフラッグシップカンファレンスです。


AI変革が進まない理由の多くは、“AI(テクノロジー)”ではなく“人と組織”にあるということです。


そして、その中心にいるのが人事、人材開発部門(L&D)です。


本記事では、LENS2026で得た示唆をもとに、AI時代における人事の役割の変化について整理します。


1. 学習は「研修」から「日常業務」へ

これまで日本企業では、学習は主に研修、eラーニング、OJTといった形で「業務とは切り離されたもの」として扱われてきました。

しかし今回のカンファレンスで繰り返し語られていたのは、「学習は業務の中に組み込まれるべきである 」という考え方です。


つまり、仕事をしながら学ぶのではなく、仕事そのものが学習になる状態を設計するという発想への転換です。


実際、グローバル企業の取締役会レベルでも、「学習を仕事にする」という考え方が議論されています。

これは、日本企業にとってはかなり大きなパラダイムシフトです。

これまでのように「研修を充実させる」ことではなく、これからは、日々の業務の中にどう学習機会を埋め込むかが問われます。


2. なぜ「AIを入れても変わらない」のか

多くの企業が感じている違和感の正体も、ここにあります。

AIツールを導入しても、次のような声が聞こえることは珍しくありません。

  • 使う人と使わない人が分かれる

  • 一部の人しか活用していない

  • 結局、従来のやり方に戻ってしまう


LENS2026では、その原因が明確に言語化されていました。

それは、

  • 不安

  • スキル不足

  • 評価されないことへの懸念

といった「人の側の要因」です。


さらに重要なのは次の視点です。


行動はメッセージではなく、仕組みによって変わる

どれだけ「AIを使おう」と発信しても、

  • 評価制度が変わらない

  • 業務プロセスが変わらない

  • 上司が使っていない

このような状況では、現場は動きません。


つまり、AI導入とは「ツール導入」ではなく「仕事のやり方を変えること」そのものなのです。


3. 学習は「一度で理解」から「繰り返して習得」へ

学習のあり方も大きく変わりつつあります。

これまでの研修は、「知識を一度で理解する」、「講義中心」、「受講すれば完了」という設計が多く見られました。

しかし現在は、「スキルを細かく分解」、「短い単位」、「繰り返し練習する」という形に変わっています。


従来の研修

これからのアプローチ

知識を一度で理解する

講義中心

受講すれば完了

スキルを細かく分解

短い単位

繰り返し練習


AIロールプレイの事例では、安全な環境で何度も練習することで、実務成果までの期間が大幅に短縮したという結果が出ています。


これは、現場感覚に近い変化です。

「分かった」ではなく「できるようになるまで繰り返す」ことが学習になるということです。


4. ポイントは「ワークフローを変えること」

では、こうした学習をどう実現するか。

鍵になるのは、ワークフローの見直しです。


多くの企業では、既存業務はそのままで、その上にAIや研修を追加するという形になっています。


しかし、これでは現場の負荷が増えるだけです。

成功している企業は、業務プロセス自体を見直し、AIと学習を組み込み、小さく試して広げるというアプローチを取っています。


特に重要なのは、次の点です。

  • 学んだことを試す「時間」を業務内に確保する

  • 小さな成功事例を横展開する

  • 現場主導で改善を回す


これは、人事やL&Dの施策ではなく、組織全体の設計の話になります。


5. 人事の役割は「運用」から「設計」へ

こうした変化の中で、人事やL&Dの役割も変わります。

これまで

これから

  • 研修を企画・提供する

  • 制度を運用する

  • スキルを定義する

  • 業務と学習をつなぐ

  • 成長が起きる仕組みを設計する


つまり、人事、L&Dは「制度運用」から「仕組み設計」へとシフトすることになります。


さらに、人材戦略は取締役会でも重要テーマとなっています。

これは、人事が「サポート機能」から「経営に直結する機能」へ変わっていることを意味します。


6. 「改善」ではなく「前提を変える」

最後に、非常に示唆的だったのがこの視点です。

これまでの延長線上での「改善」ではなく、前提そのものを見直す必要があるということです。

その例としてディズニーの歴史の話がありました。そこでは、今までの、成功してもそこに留まらず次の領域へ移り続けることの重要性が語られていました。


これは人材開発にも同じことが言えます。

  • 現在の育成方法は最適か?

  • その前提自体が古くなっていないか?

こうした問い直しが求められています。


終わりに

LENS2026で得た示唆を一言でまとめると、人事の役割は「学習を提供すること」ではなく「成長が起きる環境をつくること」へ変わっているということです。

  • 学習は仕事の中に組み込まれる

  • 行動は仕組みによって変わる

  • AIの価値は人の使い方で決まる


これから問われるのは、

「どんな研修をやるか」ではなく「どんな仕事を設計するか」です。


AI時代のL&Dは、「研修を提供する部門」から、仕事の中で成長が起きる仕組みを設計する存在へ。今まさに、その転換点に立っていると感じています。


LENS2026

LENS2026の内容に関心がありましたら、こちらをご参照ください。

Workforce Transformation in the Age of Intensification

TEKsystems Improves Sales Readiness with Dynamic AI Learning






コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page