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巨大企業がヒューマンスキルにどのように向き合っているのか

原文「How Corporate Giants Rely on Human Skills to Get Ahead


2008年にリーマンショックで経済が崩壊した時、アメリカの自動車メーカーは不況にさらされ、ゼネラルモーターズとクライスラーは政府に救済を求めました。アナリスト達は、これらの自動車会社は短期的利益を追い求めすぎ、やるべきイノベーションを無視した結果だと苦言を呈しました

振り返ってみると、それはすべて明白な事実です。気候変動による危機、自動運転、ライドシェアリングは現在、自動車産業に革命を起こしています。しかし、アメリカの自動車メーカーはこれらの問題をどのように予測していたのでしょうか。クリエイティブシンキングと問題解決においてもっと良い方法はあったのではないしょうか?

ライバルである日本の自動車メーカーであるトヨタは、参考になったかもしれない驚くべき戦略を持っています。

イノベーティブシンキングを育むために、多くのトヨタの工場では、新入社員に手作業で仕事をするように教育しています。トヨタは、機械操作を習得するだけでなく生産体制をより深く理解してほしいと考えているからです。同社は長期的視野で、このトレーニングが創造性と問題解決スキルを構築することを発見しました。

もちろん、研修生に現場でいじくり回すように言っても、魔法のようにイノベーションが起こるわけではありません。しかし、トヨタのシンプルな戦略は、より大きな真実を示しています。先見の明のある企業組織は、いわゆる「ソフトスキル」を大規模に育成する戦術を試すことができています。

ヒューマンスキルの重要性

ヒューマンスキルをソフトスキルとは呼びません。多くの企業にとって、ヒューマンスキルを手に入れるのは非常に困難です。代わりに、「パワースキル」や「パーソナルスキル」などの用語を耳にするかもしれません。人間が持つユニークな能力に焦点を合わせているからこそ、ヒューマンスキルと言えるのです。機械では完全に実現することはできません。

何と呼ぶにせよ、ヒューマンスキルは個人や企業組織にとって重要なのです。

  • 2018年のMillennial SurveyでDeloitteは、長期的な企業組織の成功のために、若年層があるテーマの深い知識よりも対人スキル、モチベーション、誠実さ、クリティカルシンキング、創造性を重視することを見つけました。

  • 2019年、LinkedInは「ソフトスキル」が採用における最も大きなトレンドであることを発見しました。89%という圧倒的な数のタレントプロフェッショナル達は、概して悪い採用にはヒューマンスキルが欠けていると報告しています。

  • 2022年に向けて、世界経済フォーラムは分析的思考、アクティブラーニング、創造性が最も急速に成長するスキルになると予測しました。上位10のうち8つはヒューマンスキルでした。

では、企業は社内でヒューマンスキルを急激に加速するためにどう対応できるのでしょうか?個人および対人レベルで変化しなければならないかもしれません。従業員は自分のヒューマンスキルを伸ばそうとすることができます。マネージャーは従業員のこれらの能力を育てることができます。

しかし、大胆なリーダーはさらに大きく考えるべきです。リーダーは自分の会社に特定のヒューマンスキルを一斉に開発させることができます。忍耐と粘り強さが必要ですが、いくつかのイノベーティブな企業がすでに可能性を証明しています。



ピクサーの創造性


アートギャラリーを見たり、歴史の教科書を読むと、創造性は個人から生まれるものだと想像するのは簡単です。アーティストや発明家は伝説のようで、ダ・ヴィンチとエジソンを特異な天才として崇拝しています。

しかし、それはピクサー社での創造性の仕組みではありません。

『ピクサーの映画を作るために必要なものを少し考えてみましょう。一人の天才だけでは、映画を生み出すインスピレーションはひらめきません。逆に映画を1つ作るのに約250人が4〜5年かけて作り上げます。』と10年近くアニメーションスタジオを研究してきたLinda Hill氏は言います。

Hill氏は、ピクサーが面倒で反復的なアプローチで映画を制作していることを発見しました。Hill氏はスタジオの秘密を3つの主要な要素として最終的にまとめました。

  1. Creative Abrasion(創造的摩擦):クリエイターはお互いに議論すべきです。それはブレーンストーミングだけではありません。クリエイターは自分のアイデアのために意見を戦かわせる必要があります。多様性だけでは十分ではありません。チームは、様々な視点から生じる緊張に慣れる必要があります。

  2. Creative Agility(創造的俊敏性):アイデアは、試して調整する必要があります。実験は、誰かのアイデアの長所と短所を明らかにすることができます。アイデアが実験やテストでうまくいかなかった場合でも、クリエイターは発見した反省点から学び、適応することができます。

  3. Creative Resolution(創造的解決):クリエイティブプロセスは対照的なアイデアをまとめる必要があります。1つのチームまたは個人が他のチームを支配してはなりません。「どちらか一方」のアイデアを修正するよりも「両方ともに」という思想を重視した意思決定からより多くの創造性が生まれます。

これらのヒューマンスキルは、ピクサーが集団の天才を育成するのに役立ちました。スタジオの共同創設者であり、長年のリーダーであるEd Catmull氏ははっきりと理解していました。彼はピクサーの創造性を後押ししたのは個人ではなくチームであるといっています。

『平凡なチームに良いアイデアを与えても、良いアイデアは台無しになるでしょう。しかし優秀なチームに平凡なアイデアを与えれば、彼らは平凡なアイデアを修正したり、より良いアイデアを思いつくでしょう。チームが素晴らしければ、アイデアも素晴らしくなる可能性があるのです。』とCatmull氏は述べています


Googleでのコミュニケーション


Googleのミッションは、「世界中の情報を整理し、世界中の人々が情報にアクセスでき、使えるようにすること」です。しかし、これは検索エンジンとソフトウェアのための単なる掛け声ではありません。Googleは透明性の高いコミュニケーションを文化的土台の1つにしています。

Googleの人事担当上級副社長であるLaszlo Bock氏は、『オープンであることは、従業員を信頼している証しであり、彼らが優れた判断力を持っていることを示すものです。そして何が/どのように/なぜ起こっているかについてより多くのコンテキストを提供することで、従業員はより効果的に仕事をすることができます。』と述べています

この姿勢は、オープンソースソフトウェアムーブメントに起因しています。もちろんGoogleは営利企業ですが、Googleは多くのオープンソースプロジェクトを支援しています。そして、オープンソースムーブメントの倫理は、Googleの日常業務に深く影響しています。

『共有できる情報はないと想像するのではなく、すべての情報はチームと共有できると想像してください。情報の制限は意識的に気づく努力をすべきであり、そうしなければならない十分な理由があるはずです。オープンソースの世界では、情報を隠すことは逆行しています。』と、GoogleのオープンソースディレクターChris DiBona氏は言っています。

例えば、プログラムコードはGoogleの最も価値ある資産ですが、Googleはコードにアクセスできるようにしています。新しく採用されたプログラマーは、採用初日にほぼすべてのコードにアクセスできます。Googleが信頼と内部コミュニケーションを強力な基盤としている証です。

しかも、オープン性はソフトウェアだけではありません。Googleはまた、対人コミュニケーションへのアプローチにも前向きな考えを持っています。

Googleが仕事のコミュニケーションで「かげぐち」をどう処理するかも考慮しています。従業員が同僚について文句を言うメールを出すような場合、問題のある同僚と会話するように期待しています。これは、すべての人がお互いにより直接的であるように教育し、人には違いがあることを整理させるためのチャレンジでもあります。

またマネージャーはより率直なコミュニケーションにも慣れる必要があります。Googleは、メンタリング、専門知識、対話などをマネージャーがしっかりとしているかを現場の従業員に評価してもらうように求める「Upward Feedback Survey」を実施しました。このアンケート調査は匿名でしたが、ほとんどのマネージャーがチーム内の結果を確認しました。そして調査の2年後、マネージャーの評価は全体的に上昇しました。

By Jennifer Gardner, Director Of Client Marketing

September 15, 2020

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