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  • 執筆者の写真DISCE

新しい常識へのナビゲート:Degreedクライアントからのアドバイス Ford社編

更新日:2023年11月22日


Degreedのような一部の企業では、リモートワーキングが企業文化そのものになっています。しかし他の企業にとっては、リモートワーキングは新しい体験です。

様々な業種の顧客にインタビューを行い、どのようにして新しく始めるリモートワーカーをサポートしたり、バーチャルラーニングプログラムを作成したり、不確実な時代に生産性を維持しているかの方法を聞いてきました。これは間違いなく私たち全員にとって新しい領域ですが、ベストプラクティス、洞察、実際の話を共有することで、私たち全員が一緒に成長し、学び、繁栄し続けることができることを願っています。

今回の記事では、Ford Motor CompanyCLOチーフラーニングオフィサーであるMelanie Davis氏に(もちろんリモートで)インタビューしました。世界を代表する自動車メーカーであるFord社は、ミシガン州ディアボーンに本社があり、20万人近い従業員を擁しています。

Degreed:コロナウイルスはFordの事業にどのように影響を与えましたか?

Melanie氏:Fordが生産活動を停止したのは創業以来初めてです。1世紀以上も前に操業して以来、私たちは常に自動車を製造してきましたが、現在、当社の工場ではマスク、ガウン、その他の個人用防護具を製造しています。

注:Fordはこのインタビューの後、5月18日月曜日から一部の自動車製造を再開しました。

Degreed:Degreedとの仕事はいかがですか?またコロナウイルスにより、どのようになったでしょうか?

Melanie氏:Degreedは、特にパンデミック下の学習を運営することに際して、信頼するパートナーです。Degreedと私のチームは、教室型のインストラクター主導トレーニング(ILT)、いわゆる集合研修を主としていた教育体系にバーチャルラーニングを組み込むというパイロットに取り組んでいました。弊社のすべてのプロジェクトがそうなのですが、ゆっくりと官僚的にプロジェクトが進んでいました。

しかしこんな状況になったので、私の周りの人々は「パイロットをスピードアップするために何かできることはないの?」と催促してきたので、私はDegreedに「Degreedを最短で公開するにはどうすればよいですか?」と尋ねました。そして約3週間後、最低限の構成で公開することができました。またこれは私にとって最も重要なことだったのですが、人事部門、IT部門などを巻き込んで有償・無償コンテンツへのアクセスをシングルサインオンで公開できました。

Degreed:Fordのラーニングチームの作業は影響を受けましたか?

Melanie氏:バーチャル(オンライン)で非同期のラーニングの概念的な考え方から、実際の必要性に至るまでを考える、チームにとって素晴らしい機会となりました。

これから何が起こっても、Fordは年末まで対面である集合研修は行わないことを決定しました。決定に伴い、学習戦略についての考え方、社内告知についての考え方、学習設計についての考え方に様々な変更を加えました。「このコロナウイルス下の新しい状況で解決するにはどうすれば?学習者にリモートワーキング中に何かをしてもらうのにはどうすれば?」と自問し、習慣になっていたこと、そして今まで機能していたことも変更していきました。

そして従業員を本当に信頼する、つまりFordが最も信頼される会社でありたいと取り組んでいる時、自らのために従業員に学習してもらうこと以上に信頼する方法はあるのか?ということです。

Degreed:従業員を信頼することについてもう少し話してもいいですか?どのようにとらえてらっしゃいますか?

Melanie氏:それはマインドセットです。「これさえあればすべての問題を解決できる」というような、難題に対する約束された解決策があったらいいのにと思っているのであれば、あなたが言っていることは「それは別の種類のリスクがあると認めている」ということです。つまりマインドセットのシフトです。常に「従業員が学んだのかをどのように知るのか?」という自問をすることです。教育分野・業界の慣例として、私たちは集合研修の出欠席情報しか見ておらず、出席したらその学習が行われたに違いないという習慣に陥ってしまいました。

しかし突然の状況の今、私たちは実際にどのように従業員を測定すればいいのでしょうか?出欠席が取れない状況の今、研修プログラムを実際にどのように測定するのでしょうか?また、おそらく私達はコースの完了情報を得ることができるとは思いますが、ほとんどの人はコース内容を忘れます。

では、学習者をどのように別な方法で捉え始めればいいのでしょうか?物議を醸すかもしれませんが、私は従業員を大人として本当に扱うことであり、従業員が私たちに何かを証明する必要はないと信じています。学ぶ必要があることを自ら学ぶのは従業員自身の責任です。それが私の捉え方です。この考え方は別の種類のリスクを受け入れているだけだと思っています。

Degreed:成功の指標として何を考えてらっしゃいますか?また知識伝達を測定する方法はどのように考えてらっしゃいますか?

Melanie氏:他の皆さんと同じように理解していると思います。方法はいくつかあり、レベルの低、中、高のアプローチがあります。レベルの低いアプローチはエンゲージメント指標で、プラットフォーム上のアクティブユーザー数、もしくはラーニングアイテムを完了した人の数、閲覧した人の数です。他にも、どのトピックを見ているのか?どのような種類のコンテンツを学習しているのか?これらは測定可能で観察可能な行動です。

今後の予定として、学習量とエンゲージメントを会社が求めるコアな素質(capability)に合わせ始めようとしています。コア素質のすべては説明しませんが、古典的に多くの企業が行っているもので、デザイン思考、アジャイルであること、などです。そしてそれに加えて、従業員は自分のスキルを評価しています。そして、もしある従業員が「私はレベル7のデザイン思考のスキルレーティングを持っている」と自己評価した場合、我々も「全社的にはレベル7」と評価するかもしれません。しかし彼らがいくつかの学習を行うと自己評価を突然レベル5にすることがあります。これは無意識に無資格と判断することとは対照的に、意識的に無資格と判断していることを示しています。したがって短期的にはレベルが下がったとしても、結果的には良いことです。

長期的にはビジネスへの影響結果を検討し始めます。学習自体の有効性を測定するだけでなく、ビジネスにどう貢献しているかを確認します。

Degreed:将来についてどのように考えているかについてもう少しお聞かせ願えますか。何が変わり、何が同じままですか?

Melanie氏:学習リソースについて考えると、はるかに多様なものになると思います。中心的なジャンルについて具体的に話すと、リーダーシップ、各専門分野の能力開発、会社が求めるコアな素質、企業が必要するスキルなどになります。ポートフォリオ全体の取り揃えをどのようにするのかは、学習者が本当に必要としているのかということです。70/20/10モデルについて、過去数年にわたり多くの人々が議論していますよね。10%はフォーマルラーニング、20%は人と人とのコーチングやメンタリング、70%はインフォーマルまたは業務からのものです。

フォーマルラーニング中心の組織の大きな課題の1つは、70%にあたる業務実地学習にいかに対応できるかです。また、今後のポートフォリオの大部分は、今までほとんど無視してきた、ラーニングがビジネスにどう貢献するかです。そして、それはFord独自の問題ではなく、業界全体にかかわっている問題です。

Degreed:貴社が学んだ教訓を共有していただけますか?

Melanie氏:完璧に準備ができる前にリリースすることを怖がらないことです。それはアジャイルであることの一部です。Fordは、6月中旬に最初のバージョンをリリースする予定でした。予定していたコンテンツライブラリをすべて取り揃え、リリースプログラムの一つである社内告知も完璧に準備した状態でリリースする予定でした。もちろん計画した内容は今後実施していきますが、実際にベータ版の状態でも多くの価値を得ることができました。最低限の実行範囲で、できるだけ早くリリースすることを恐れないでください。そして広めます。ラーニングプロフェッショナルだけではなく、アーリーアダプターを迎え入れましょう。そしてプラットフォームがどのように使われているかについてのデータを手にして、より長期的な意思決定を行えるようにした方がよいということをお勧めします。

Degreed:ユーザー、従業員をどのように鼓舞していますか?ユーザーインターフェースの使い勝手以上のエクスペリエンスをどのように考えていますか?

Melanie氏:シングルサインオンは最も重要で、簡単に学習できるようにすることでした。他にもいくつかあります。公開初期から、ある社内グループと戦術的に取り組んでいます。人事部門、IT部門、採用部門でこの3つの部門はそれぞれ、従業員の人事、テクノロジーツール、採用者と育成を対象とするため、従業員のエクスペリエンスに大きな影響を与えています。最初にこの3つの部門を中心にし、テストし、早期の賛同を得て、公開後にもサポートできます。

また従業員への参加を促す前に、自らの学習を自らが進めるというモデルを具現化する機会を各部門に与え、全従業員にも同じようにします。財務部門や工場の従業員が、取締役や副社長が学んだ同じコンテンツにアクセスできるという事実はかなりユニークであり、従来ではありえないことです。

Degreed:よく聞く質問なのですが、離職する人、離職の可能性が高い人、時間給の人、契約社員に投資する理由は何でしょうか?Fordはどのように対応したのでしょうか?

Melanie氏:3つのポイントがあるかと思います。

まず1つ目は、Henry Ford自身の言葉を引用したいと思います。『トレーニング後に従業員に退職されてしまうことよりも悪いことは、トレーニングせずに放っておくことだ。』この言葉は100年以上もの間、当社の精神でした。


2つ目はとても感銘を受けていますが、当社のL&Dチームが、ラーニングテクノロジーの最前線に立つチームだということです。彼らは拡張現実ARラーニングや、仮想現実VRラーニングを実験しています。Ford内でもこのチームはイノベーションの面で最も先行しています。

私たちの製造ライン組織は、組織の半分以上を占めます。そうでなくてもFordは自動車を製造しています。それが私たちの仕事です。その人々に我々が投資しなければ、Fordに投資しないことにつながります。

そして3つ目は、工場が長年ずっと同じコミュニティだということです。工場には家族がいて、何世代もの人々が働いています。そのため誰も去ることはありません。まさにコミュニティであり、家族です。潜在的にもしかすると離職率は高いのかもしれませんが、兄弟、いとこ、息子、娘、叔母、母親といった関係が続いています。ですから、その人々に成長してもらう素晴らしい環境があることは非常に重要です。

Degreed:貴社の従業員はどう思っているのでしょうか?従業員の学習行動は現在どのようになっているのでしょうか?

Melanie氏: 異なる2つの視点でお答えします。

まず1つは、Degreedと協力して実現しているチームについてです。このチームは、このペース、状況下でも働くことができること、そしてこのペースが「すべて短時間で」とは限らないことを学びました。それは、最低限の構成でもエキサイティングな、本当に誇りに思い、完成していなかったとしても喜ばれるということです。そのことは何かを成し遂げたと感じることにつながり、さらに完成度を上げていこうということにつながります。

2つ目は、学習者の反応を見るために、パイロットベータグループの人事部門と一緒にウェビナーを行いましたが、反応の大部分は『これは素晴らしい!私たちはとても感謝しています。ありがとうございます!』というものでした。


 

By Tom Schultz, Senior Copywriter

May 28, 2020

 
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