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執筆者の写真 Ryota Kurihara

スキルファーストラーニングについて

世界経済フォーラムでも取り上げられているスキルファーストのアプローチについては、近年、多くの企業が取り組みを始めています。


弊社でもスキルベースド組織というものをブログで紹介しました。スキルベースド組織(Skill-Based Organization)とは、スキルデータを活用して人材とマネジメントの実践に情報を提供してビジネスの意思決定に取り組んでいる組織のことを指します。

もう少し知りたい方は弊社のブログ「スキルベース組織と人材開発部門」をご参照ください。

スキルを優先したスキルファーストな組織においては、必要なスキルを身に付けるということは重要なポイントであり、そこでは学習の役割が大きく関わってきます。従業員に対して、学習の機会を提供していくことは、企業戦略の重要なポイントとなります。



これからは、「スキルファーストラーニング」という、スキルの習得を最優先した学習アプローチを取り入れることが企業の成長に不可欠になってきます。スキルファーストアプローチは、足りないスキルの研修を受けるといった点だけではなく、即時性、パフォーマンス、パーソナライズ、継続学習といった内容を含む、包括的なアプローチです。


変化の激しいビジネス環境への適応だけでなく、リスキリングや業務とのミスマッチング、キャリアオーナーシップといったことにも対応できるアプローチです。企業において人材育成は大きな経営課題となっている中、大きな解決策の一つになるアプローチです。


スキルファーストラーニングとは


スキルファーストラーニングとは、学習者が必要とするスキルを明確に定義し、そのスキルを習得するための最適な学習プロセスを設計し、学習者のニーズやレベルに応じてカスタマイズし、学習した内容を即時に業務に適用できるようにすることを目的とした学習アプローチです。


スキルファーストラーニングのアプローチの適用範囲としては、学習方法としてのアプローチと学習戦略としてのアプローチが考えられます。


学習方法としてのアプローチは、実践と応用を通じてスキルを習得するアプローチです。

従業員が現在、そして将来的に必要なスキルを習得することに主眼を置きます。

従来の知識ベースの学習と比較するとその違いが分かりやすいです。


※Learning A-Z社の記事より引用し、日本語訳。Knowledge Based and Skills Based Learning, Learning A-Z


スキルファーストラーニングでは、できるようになることに焦点をあてています。そのため、スキルという目標が明確で、応用と実践が多く、パーソナライズ化されるという特徴があります。


スキル開発を進めることがビジネスの成功にとって、今まで以上に重要になってきています。とはいえ、従来から行われている知識ベース学習が不要になったわけではありません。両方が必要です。


これからは、知識ベースの学習だけでなく、スキルファーストラーニングについても重要視し、特に人材開発部門が率先して適応していく必要が出てきています。


学習戦略としてのアプローチは、人材開発部門の役割に関わってきます。企業としてどのように人材開発に取り組んでいくのかの土台となるアプローチです。


社内のビジネスに必要なスキルと従業員の保有スキルとのGAPを明確にし、そのスキルを得るための学習環境を整えていきます。研修を受けたかどうかではなく、スキルを身に付けたかどうかという観点で見ていくことが求められてきます。


従来の研修管理の方法とは違う観点での取り組みになるので、人材開発部門が中心となり、取り組みを進める必要がでてくるかと思います。


従来実施してきている人材開発の機能においては、研修の受講時間や受講者数、コストなどが管理指標として使用されていることが多いです。そこから、従業員の行動変容なども評価として取り入れられてきていると思います。


スキルファーストラーニングでは、さらに、スキルの上達やどれだけスキル開発に取り組んでいるかといったデータが管理指標として取り入れられてきています。


※Degreed社Degreed SFO Whitepaperより引用し、日本語訳。


スキルファーストラーニングへの一歩目


スキルファーストラーニングを進めて行くには、企業側と従業員側の双方で従来の学習スタイルからの変化に対応していく必要が出てきます。


従業員側としては、研修は会社から指示があったときにだけ参加すればよいといった受け身の姿勢から、自ら必要なスキルを考え、学習していく姿勢への変化が必要になってきます。ここで一つポイントになってくるのが、学習イコール研修ではないということです。研修以外にも、eラーニングや書籍、Webサイトなどであったり、シミュレーションや個人練習、ワークグループへの参加といったことも含まれます。


企業側としても、研修の提供以外にも、学習環境の整備や学習時間の確保、学習したスキルの実践の場作りなど、学習をサポートすることが必要です。そしてこれらの実現を支えるテクノロジーへの投資や見極めも求められます。人材開発部門は従来の枠から飛び出し、役割の変化に取り組む必要があります。


スキルファーストラーニングに取り組むには、やるべきことが多く、どこから始めればよいか戸惑いを感じることがあるかもしれません。そのような場合は、まずは、学習環境から着手することをお勧めいたします。目標とするスキルの設定と、研修以外の学習機会、業務中でも学習に取り組めるような仕掛け作りから取り組んではいかがでしょうか。


最後に、Degreedでは、スキルファーストに取り組む人たちのオンラインコミュニティ「The Shift」を立ち上げました。スキルの活用に関心をもたれたり、コミュニティに関心を持たれた方は、次のブログをご参照ください。


The Shift:スキルファーストのコミュニティ


組織内に、学習の文化を創っていくことはスキルファーストラーニングへの一歩目となります。ぜひ、次の学習ステージに取り組んでいきましょう。


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