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ソリューションから読み解く、人材開発における生成AI活用

人材開発でAI活用が進む3つの領域

生成AIの普及により、企業内のさまざまな業務アプリケーションにAIが組み込まれるようになりました。こうした変化は、人材開発(L&D)の領域にも大きな影響を与えています。


AIは研修開発の効率を高めるだけでなく、学習者一人ひとりに最適化された学習体験を提供できるようになってきています。


人材開発部門にとって重要なのは、AIを「使えるかどうか」ではなく、「どの領域で、どのように活用するか」を考え、適用していくことです。

本記事では、近年急速に増えているAIソリューションを俯瞰しながら、特に注目すべき3つの活用分野を紹介します。



■人材開発分野でAI活用が進む3つの領域


現在、人材開発領域では多様なAIソリューションが登場しています。その中でも、今後のラーニング環境を理解するうえで重要なのが、次の3分野です。


  • デジタルコンテンツ開発(研修制作の自動化)

  • 学習プラットフォーム(LMS/LXPの進化)

  • AIネイティブ学習(AI前提の学習体験)


この3分野を整理することで、現在の人材開発における生成AIの活用状況と、今後の方向性が見えてきます。



■デジタルコンテンツ開発:研修制作のあり方が変わる

AIは、eラーニング制作のあらゆる工程に組み込まれ始めています。現在ではすべてAIにまかせて作成することもでき始めています。

  • コース全体設計

  • 草案作成

  • 画像・音声・アニメーション生成

  • クイズ作成

  • 多言語翻訳


従来は大きな工数がかかっていたコンテンツ制作が、AIによって大幅に効率化され、制作スピードが飛躍的に向上しています。


例:Articulate 360に見るAI活用

代表的なコンテンツ制作ソリューションであるArticulate 360では、参考資料をアップロードすることで、研修構成案や文章案をAIが生成します。


ArticulateのAIは、eラーニング開発に特化しています。インストラクショナルデザインの考え方を踏まえ、コースとして最適化された形で提案を行います。最終的にはコースそのものが出来上がり、多言語対応まで可能です。


他にも、コース制作の各プロセスに対してAIが支援しています。機能の例として、次のようなものがあります。

  • 画像生成プロンプトの作成

  • AIによる自然な合成音声

  • 動画字幕の自動生成

  • クイズやまとめの自動作成

  • 多言語翻訳

  • テンプレートの一括変換

  • アニメーションの作成


私たちはコース開発のテクニックに関する悩みから解放され、今まで以上に内容に注力したコース開発を行えます。


■プラットフォーム:LMS/LXPは「学習パートナー」へ進化する

AI活用はコンテンツ制作だけでなく、学習プラットフォーム全体にも広がっています。

LMSやLXPに加え、コンテンツプロバイダーやタレントマネジメントシステムにも、AI機能が追加されています。


AI搭載プラットフォームが提供する価値の一部

  • 学習傾向に基づくパーソナライズ推薦

  • スキル同士の関連性分析

  • AIによるキャリアコーチ/学習コーチ

  • 自動コース生成やスキル評価


プラットフォームは単なる「管理システム」から、学習者の成長を支援する存在へと進化しています。従来の研修やコンプライアンスを管理するシステム、eラーニングを学習する場から、キャリアを通じてスキルアップをし続ける場、現在の業務のパフォーマンスを高めるための日々の学習の場への役割を変えてきています。


例:Degreedに見るLXPの進化

LXPの代表例としてDegreedの例をご紹介します。Degreedでは、スキルデータと学習データをAIが分析し、学習者に最適化された学習体験を提供しています。

具体的には、

  • スキル表記揺れや関連性の分析

  • 個人に合わせた学習リソース推薦

  • AIコーチによる対話型支援

などが実装されています。


また、データ活用以外にも、学習者向けのAIが適用されてきています。


学習者向けのAIコーチ例

  • 学習コース相談

  • キャリアコーチ

  • リーダーシップコーチ

  • AIとの対話によるスキルレビュー

  • 学習パス自動生成(キュレーション)

  • その他、企業独自のAIコーチ構築


AIによって、社員が学ぶ際のハードルが下がり、より個別最適化された学習体験が可能になります。


■AIネイティブ学習:AI前提で設計された新しい学習体験

AIの活用は「学習や研修の効率化」にとどまりません。これからは、AIを前提として設計された学習体験を考えていく必要があります。ここでは、これをAIネイティブ学習として紹介いたします。


AIネイティブ学習の特徴は次の通りです。

  • 学習内容が動的に変化する

  • AIとの対話型学習が可能

  • ロールプレイやシナリオテストをAIが提供

  • 分からない点を即座に質問できる


集合研修や従来のeラーニングとは異なる、没入型・個別最適化された学習が実現されています。


例:Ardoiseが提供するAIネイティブコース

フランスのスタートアップ企業であるArdoiseでは、AIとの対話を中心に学習が進むコースを提供しています。


コースの構成例:

  1. 事前スキル評価(AIがアセッサー)

  2. AIとの会話型学習(講師役)

  3. AIアバターとのロールプレイ

  4. AIによるコーチングと振り返り


AIネイティブ学習の特徴をそのままコースとして提供しています。今後の学習の形で、特にソフトスキル領域では、知識習得とロールプレイが統合された学習体験が活用されていくでしょう。


プラットフォームで提供されるAIコーチの活用や、一つのAIロールプレイの実施ということAIネイティブ学習の一つと言えます。それぞれ、どのように学習を展開していくかにより適用するソリューションも変わってきます。


■これからの学習環境:AIと共に進化する新しい人材開発へ

AIは学習環境の標準機能となりつつあります。重要なのはAI導入の可否ではなく、どのように活用するかです。


今後、人材開発部門に求められる観点は次の通りです。

  • 学習者体験(LX)を軸にした研修設計

  • 現場ニーズに合わせた迅速なコンテンツ開発

  • セキュリティを踏まえた適切なツール選定

  • AI活用を前提とした学習環境のデザイン


AIは研修開発を効率化し、学習体験を個別最適化し、学習者の成長をリアルタイムに支援する存在へと進化しています。


今後、人材開発部門が担う役割は、研修を提供するだけでなく、AIを前提とした学習環境を構築し、より良い学びをデザインすることへと広がっていきます。AIの成長はすさまじく、数か月前と比較しても各段に性能が上がっています。1年前の感覚で考えていては本質を見抜けなくなってしまう状況です。リスクは抑えつつも、取り入れることによるメリットを享受することが必要ではないでしょうか。AIと共に進化する新しい人材開発の形を、今こそ描いていく時期に来ています。




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