人材があらゆるビジネスにおいて最も貴重な財産であるということに異を唱える人はいないと思います。人材は、経済的にも幸福な暮らしを生み出す知識、スキル、イノベーションへの責任を果たすという、ヒューマンキャピタルの考え方です。
しかし、最近の調査に回答した米国の企業の49%は、従業員のレイオフを検討しています。また3分の1以上が採用を凍結すると述べています。
間違いなく安全面と経済面は、コロナウイルスのグローバルパンデミックによって引き起こされた壊滅的状況に直面しており、私たちは前例のない経済状況に陥っています。
それでも、従業員の雇用を守るために企業はあらゆる努力をする必要があります。
従業員の雇用を守ることはより誠実な行動で、経済活動に大きな利益をもたらすチャンスでもあります。
レイオフが答えではない
企業の短期、中期、長期における各目標が、存続、回復、成長である場合、突然の一時的な需要ショックのために提供能力を減少してしまうと、急激な落ち込みを生じさせてしまう可能性があります。
しかし労働力の確保こそが、コロナ危機前のパフォーマンスレベルにすぐに戻ろうと真剣に考えている企業の重要な施策になる可能性があります。そして中には景気後退を乗り越え、チャンスをモノにする幸運な特別な企業もあります。
これらのサクセスストーリーの共通点として、インターナルモビリティ(従業員が新しいスキルを学び、会社内の新しい責務と役割に対応できる仕組み)が大きな役割を果たす可能性があります。
採用コストの高さ
労働力の確保を支持する意見は次の通りです。可能な限りいつ何時でも労働力を確保することは、経済回復に欠かせない貴重な時間、知識、費用を節約します。これは各企業やグローバル経済全体にも当てはまります。Honeywell社の元CEOであるDavid Cote氏は、意思決定への思慮深いアプローチについての持論がありました。「私はリーマンショックなど3つの不況期間でリーダーとして会社を率いておりましたが、不況期間中に、やがて訪れる回復期間のパフォーマンスにどのように影響するかについて経営陣が議論するのを聞いたことがありませんでした。しかし、2008年と2009年に、私はその点を繰り返し議論しました。回復するためには準備が必要なのです。」
従業員への考慮はその準備の大きな部分です。
Work Instituteによると、従業員の離職によるコストは従業員の年間給与分の約33%です。
実際、業界アナリストのJosh Bersin氏によると、従業員の離職による総コストは、その人の年間給与の1.5倍から2倍に及ぶ可能性があるという研究結果を発表しています。総コストには、新規採用費(広告、面接、スクリーニング、採用)、新規採用者のオンボーディング費(トレーニング、管理時間)、生産性の低下による損失(新規採用者が前任者の生産性に達するまでに1〜2年かかる場合があるなど)が含まれます。
さらに細かく見ていきましょう。米国平均年収48,672ドルの従業員1,000人を再雇用する場合のコストは、約1,600万ドル(48,672 × 1,000 × 33%)と見積もることができます。もちろん規模の経済を考慮に入れていませんが、それでも仮にこのように俯瞰して見ると、他の部分に予算を使う方がよいという意見を否定することはできません。
また採用までの時間、そしてさらに重要なことに、生産性を上げるまでの時間は、人員計画の重要要因です。
ほとんどの場合、プロジェクトに必要なスキルは、そのプロジェクトの開始時にようやく判ります。また業界によって大きく異なりますが、採用平均期間は20〜40日です。つまり、初日から多くの取り組みが行われるので、例えば危機的状況への対応などタイムラインが採用担当マネージャーにコントロールできない場合、予定どおりに結果を出すことはほぼ不可能になります。
労働力の確保は理にかなっている
従業員の年収の3分の1を使って採用費用にする代わりに、その従業員を維持すべきです。その従業員を以前と同じ条件で働かせることができない場合は、アップスキリングやリスキリングのために4か月の有給期間を提供してでも、従業員を別なビジネス事業に配置すべきです。
言い換えると、ダウンタイムにこそギアを上げることが重要です。競争力とアジャイルを維持するアップスキリング戦略を取り入れましょう。回復期間が到来した時に、前向きなアクションのおかげで、貴社は一瞬のうちに飛び出すことができます。
もし貴社が大胆に、そして少しクリエイティブになることを望んでいるなら、労働力確保の利点は計り知れません。従業員のアップスキリングと維持についての詳細は、ガイド「7 Steps for Upskilling Your Workforce(従業員をアップスキリングする7つのステップ)」をダウンロードしてください。
By Tay Pattison, Manager, Strategic Initiatives
July 16, 2020
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