top of page
  • 執筆者の写真DISCE

アップスキリングとリスキリングに関する2つの誤りを暴く


あなたの友人がエベレストへの旅行を予約したとします。ツアー会社はネパールの空港で興奮した友人を出迎え、地図を渡して「グッドラック!」と言います。、そして友人がヒラリーステップ (エベレストの山頂付近の切り立った岩壁) から自撮り写真を投稿する、そんなことは決してないでしょう。


このシナリオはナンセンスに聞こえるかもしれませんが、多くの企業のリーダーはこのように従業員のアップスキリングやリスキリングに接しています。そう、学習コンテンツのライブラリを渡して、従業員に「グッドラック!」というのです。


良いニュースは、多くの企業がアップスキリングやリスキリングに真剣に取り組んでいるということです。リーダーたちは、従業員育成の取り組みが、デジタルトランスフォーメーションの飛躍的な達成や、深刻化する人材危機の克服にとっていかに重要であるかを知っています。


このような理由から、アップスキリングとリスキリングプログラムは増加傾向にあり、72%の企業がリスキリングプログラムを提供しています。しかし、それだけでは不十分です。スキルギャップは拡大するばかりです。


『学習と仕事の仕組みは、大量の労働者をスキルアップさせ、需要のある仕事に移行させるためのものではありませんでした』と、Strata Institute for The Future of Workの創設者であり、『Long Life Learning: Preparing for Jobs That Don’t Even Exist Yet』の著者である研究者Michelle R. Weise氏は指摘します。


では、企業はどのようにすれば効果的にアップスキリングとリスキリングを支援できるのでしょうか?エベレストに登るように、あるいはどんな高い目標にも到達するように、アップスキリングとリスキリングには時間とガイダンスが必要です。



1. 従業員は学びたいが時間がない


ITチームのメンバーは、木曜日にデータ分析に関する90分のオンラインクラスを受講する予定をたてました。受講に同意した上司が確認できるように、カレンダーにも登録しています。しかし、受講当日に上司は別の会議を予定し、オンラインクラスよりも会議を優先してくれと言われます。


昔からよくある話です。


今日、多くの企業が学習を奨励していますが、従業員が新しいスキルを学ぶのに必要な時間を提供していません。次々と行われる調査によると、従業員は仕事中に学びたいと思っていますが、時間が障壁となっています。例えば、LinkedIn Learningの調査によると、従業員が成長しない理由の第1位は時間の不足でした。


学習時間を確保する責任は誰にあるのでしょうか?多くの企業は、従業員のアップスキリングとリスキリングに責任を負っています。しかし、そのような余裕があるのは、ごく一部の選ばれたグループだけです。



もしあなたの会社が、アップスキリングのための時間を確保するのは従業員の責任だとしているのであれば、それはおそらく次のような多くの従業員に悪影響を及ぼしていることでしょう。

  • 誰かを介護しなければいけない人

  • 子供を持つ両親または保護者

  • 副業をしている人


授業料の払い戻し制度のような伝統的な学習プログラムの多くが不公平なままである理由の根底には、時間不足や収入を得ることに必死になっていることがあります。そのため、Randstad社の最近の調査によると、アップスキリングとリスキリングの取り組みが、しばしば他の人々よりも特定の人々を優遇していることは驚くことではありません。



従来の学習プログラムの不公平さを無視すると、従業員や企業を傷つけます。今日の容赦ないデジタルトランスフォーメーションの中では特にそうです。今日の変化は非常に深く広範囲に及んでおり、第4次産業革命やインダストリー4.0と呼ばれる新時代に拍車をかけています。近い将来、企業はまだ存在しないスキルを必要とするようになるでしょう。そして、そのスキルは大量に必要となります。


今日の新しい仕事の世界では、ほとんどすべての労働者がアップスキリングを必要としています。スキルギャップは技術職に限ったことではありません。最高経営責任者(CEO)、人事担当者、データサイエンティストも同様です。時間とお金に余裕のある従業員だけがアップスキリングとリスキリングを行えば、企業は大きな代償を払うことになるでしょう。




企業は従業員が新しいスキルを学ぶ時間を確保しなければならない


労働者に学ぶ時間を与える必要があります。Weise氏はこの問題とその解決策を理解しています。彼女は『「時間が最大の障壁」であり、時間という制限要因を解決しない限り、どのようなスキル開発の取り組みもうまくいかない』と指摘します。


従業員に学ぶ時間を与えることは、スキル開発にとって特に重要です。なぜなら、スキルの習得は知識の習得とは異なるからです。エベレスト登頂について学ぶのと、実際に登れるようになるのとの違いです。例えば、ネパールを訪れるあなたの友人が、準備のためにソファで何百本もの登山ビデオを見ているだけでは、登頂するためのスキルは身につかないでしょう。技術、特に専門的な技術や複雑な技術の習得には、他のどのタイプの学習よりも多くの学習時間が必要です。


時間的なコミットメントという点では、山頂を目指す旅はアップスキリングとリスキリングの旅に匹敵します。新しいスキルを習得するには平均480時間かかるという試算もあります。もちろん、時間数はスキルによって異なります。従業員が簡単なスキルを身につけるのに、少なくとも10時間は必要かもしれません。複雑なスキルを身につけたり、大学の学位を取得するにはどうでしょうか?5,000時間は必要かもしれません。


企業が新たなアップスキリングとリスキリングの取り組みを確立する際には、学習にどれだけの労働時間を割くかを再評価する必要があります。アップスキリングとリスキリングの取り組みにどれだけの時間が必要かを念頭に置いてください。学習時間が不足しているとリーダーが判断した場合は、週単位または月単位での学習を義務付け、学習時間を取る責任をマネージャーや従業員に負わせることができます。



2. 従業員は新しいスキルを学びたいがサポートがない


積極的なエンジニアは新しいプログラミング言語を学びたいと考えており、上司は会社のコンテンツライブラリからコースを見つけることを薦めます。そこで彼らは、なんとか見つけた2つのPythonコースを熟読し、修了します。しかし、約30時間のコンテンツを学習した後でも、従業員はPythonのスキルが必要なプロジェクトに取り組むだけの自信を持てません。


昔からよくある話です。


単に学習リソースにお金を払っても、企業のアップスキリングとリスキリングの成功は保証されません。L&Dはコンテンツに重点を置いていますが、コンテンツライブラリが、適切なスキルを効果的に開発するために必要なガイダンスを提供するとは期待できません。


上記のPythonの例を考えてみましょう。従業員の会社では、もうPythonエンジニアは必要ないかもしれません。Gartner社の調査によると、従業員の70%が業務に必要なデジタルスキルを習得しておらず、同じ従業員やマネージャー職も、どのスキルに注力すべきかを必ずしも把握していない可能性が高いとのことです。ハーバード・ビジネス・レビューは、これを「unconscious incompetence:無意識の無能」と呼んでいます。


労働者は自分が何を知らないかを知らないのです。マネージャーやリーダーも同じです。Brandon Hallグループの2020年ラーニング戦略調査では、ほぼすべての企業(87%)がラーニングと目標を一致させる必要性を表明していますが、それを実行できると答えたのはわずか13%でした。


ほとんどのコンテンツライブラリは、スキルとビジネス成果の整合に必要なツールを提供していません。たとえ奇跡的に、従業員が学ぶべき正しいスキルを暗黙のうちに知っていたとしても、ほとんどのコンテンツライブラリは、それらのスキルを学ぶための適切な経験やリソースを従業員に提供していません。Pythonの例をもう一度考えてみましょう。コンテンツライブラリのPythonのビデオを30時間すべて学習しても、従業員が専門家になれるわけではありませんし、新しいPythonスキルをうまく展開できるようになるとは限りません。


14,000の企業を対象とした調査では、マネージャー職の63%が適切なアップスキリングリソースを備えていないことがわかりました。これは、多くのレガシーな学習コンテンツライブラリが、トレーニングや日々の学習のための学習リソースに焦点を当てているためです。このような一口サイズの学習リソースでは、深いアップスキリングに必要な専門的で詳細なコンテンツは提供されません。



企業はスキルインフラを提供しなければならない


従業員がスキルを身につけるには何百時間もの時間が必要であり、専門知識とスキルの旅をガイドするインフラも必要です。このため、Randstad Risemartが実施した2021年のスキルに関する調査では、数千人の従業員と人事担当者の91%が、スキルの向上には専門家の指導があった方が効果的だと回答しています。



「専門家のガイド」とはなんでしょうか?人事の専門家に、従業員がどのようなコースを受講すればいいのか、あるいはどのようなOJTの学習機会を提供すればいいかについて、最良の選択をするために何が役立ったかを尋ねたところ、以下のような回答が上位を占めました。

  • スキル、キャリアへの関心、可能なキャリアパスの調査アンケート

  • コース、資格、学位、体験学習など、幅広い学習機会へのアクセス

  • 最適なスキルの選択肢に関するアドバイス

  • 需要の高いスキルに関する洞察


このリストを重視するのであれば、学習コンテンツライブラリを従業員に提供したからといって、ビジネスに沿ったスキル構築を期待するのはやめましょう。アップスキリングとリスキリングの課題を解決するには、適切なタイミングで適切な従業員に適切なコンテンツと体験を提供するために、人的ガイドとテクノロジーが連携したエコシステムが必要です。


貴社はこのインフラを社内で構築することも、外部のサードパーティプログラムを活用することもできます。今日、一般的な手法の1つは、スキル開発の学習部分を外部のプログラムに頼ることです。これにはいくつかの形態があります。ブートキャンプ、セミナー、アカデミーは、専門的で詳細な内容、スキルの実践経験、専門家からのフィードバックを提供します。



企業は従業員のアップスキリングとリスキリングの旅をガイドする必要がある


よく「行き先がわからなければ、すでにそこにいる」と言われます。つまり、道に迷っているのです。スキルの有効期限がわずか3年という時代に繁栄を目指す企業にとって、道に迷っている状態は理想的ではありません。


アップスキリングとリスキリングの山で迷っているなら、ガイドを雇いましょう。アップスキリングとリスキリングほど複雑で重要なものについては、企業は従業員にコンテンツライブラリだけを渡して幸運を祈る余裕はありません。


スキルの習得は、最も複雑で時間のかかる学習です。時間をかけ、ガイドしましょう。従業員に新しいスキルを習得するための十分な時間を与え、包括的なスキル構築ソリューションを提供しましょう。


ラーニングアカデミーがどのように貴社のスキルアップとスキル再教育の取り組みをサポートできるかについては、ブログ「ラーニングアカデミー:企業が知っておくべきこと」をお読みください。

 

By Degreed, November 16, 2023

 
bottom of page