私たちは、何度も何度もそれを聞いてきました。従業員を頭数以上の存在として扱えば、従業員は組織に貢献するようになります。従業員に自ら学び、成長する機会を与えることで従業員を育成すれば、より生産的でイノベーティブで、かつ積極的に仕事に取り組むようになります。また、学習を重視する企業文化があれば、より質の高い人材を集め、維持することができるようになります。
そのナレッジを活かして、さらにもう一歩踏み込んでみましょう。実践学習でスキル開発する時間を与えることで、チームを成長させましょう。
専門的な能力開発が求められています
現在の調査では、今日の労働者にとって専門能力開発が重要であることが圧倒的に示されています。2021年10月にテクノロジー業界のプロフェッショナルを対象に行われた調査では、回答者の91%が企業側からのトレーニングの機会をもっと求めていることがわかりました。同時に75%が、企業側は現在の人材への投資よりも新しい人材の獲得を優先していると回答しています。
若い世代は、スキルの能力開発を重視する傾向が強まっています。例えば、Deloitte社による2022年のレポートでは、ミレニアル世代とZ世代は29%が学習と能力開発の機会を重視して企業を選んでいることが示されています。これは、従業員が企業に固執する理由としてワークライフバランスに次いで2番目にランクされています。
2022年は「Great Reshuffle:大再編成時代」(別名「Great Resignation:大退職時代」「Great Quit」)と呼ばれ、退職率が記録的な数字に達しています。多くの労働者は、同じ職種や業種にとどまるのではなく、仕事に何を求めるかを再検討しています。彼らが求めるもの、それは「成長」です。
実践学習はその成長を促す最も効果的な方法の一つです。プロフェッショナルな能力開発がより重要視される中、実践学習をうまく活用することで、組織内での成長を促すことができます。
実践学習とは?
実践学習は、従業員が給与を受け取りながら、仕事中に新しいスキルを学ぶ機会を提供するものです。その形態はさまざまで、次のようなものがあります。
マンツーマンの指導。上長やスーパーバイザーが、リスクのない環境でメンバーに新しいスキルを指導します。
バーチャルトレーニング。ウェビナーやオンラインで行われる実践トレーニング
グループクラス。従業員がグループトレーニングや学習で見たり聞いたり協力したりする形式。
コーチングやメンタリング。コーチやメンターが従業員と一緒になって目標を確認し、質疑応答に対応したり、アドバイスを提供したり、キャリアアップの障壁を克服するためのサポートを行います。
部門間コラボレーションプロジェクト。従業員が新しいスキルを学ぶために、異なる部門やチームの人々と協力して同じプロジェクトを遂行します。
フォーマルな実践学習は経験学習を通じて能力開発を補完します。実践学習は、従業員が日常業務の中で新しいスキルを試したり、専門家とのストレッチ課題やメンタープログラムを通じて新しいスキルを身につけることを可能にします。
従業員は、自分の情熱や才能に合致し、専門的な能力開発を促進するようなトレーニングプログラムを好むことは明らかです。2022 LinkedIn Workplace Learning Reportによると、自分のスキルが現在の仕事で活かされていないと感じている従業員は、その反対に感じている従業員よりも10倍も新しい職場を探している可能性が高いことが分かっています。
実践学習をどのように取り入れたらいいのか?
同じ役割を担うすべての従業員に画一的なトレーニングを提供するだけでは十分ではありません。実践学習を効果的に行うには、その背景に明確な戦略が必要です。いくつかのベストプラクティスを参考にすれば、実践学習と能力開発をうまく融合させることができます。
1. キャリア開発プランをカスタマイズする
キャリア開発プランをカスタマイズすることで、従業員が現在いる場所と、1年後、5年後、10年後にどうなっていたいかを計画します。このプランの利点は以下の通りです。
各キャリアの節目で結果を出すために、どのようなスキルを身につける必要があるのか、従業員が認識できる。
従業員が自分の成長に投資されていることを理解し、会社での活動を継続させることができる。
明確なベンチマークは、従業員とマネージャーが能力開発に対する責任を持ち続けるのに役立ちます。
また、募集や採用の際に、カスタマイズされたキャリア開発プランの利用を促進することができます。各プランは従業員一人ひとりが作成するため、従業員は自分の情熱や強みに合った職責や役割に専念することができます。
2. 従業員に合ったトレーニングスタイルに巻き込む
学習のスタイルの選択に関与させることで、従業員はより積極的にトレーニングを受け入れるようになります。ある従業員は実践的な学習者だったり、ある従業員は座学を好む場合もあります。またディスカッションやコラボレーションが活発なグループセッションを好む人もいます。
従業員に、興味のあるラーニングモジュールについてヒアリングしたり、実践学習中にどのように学習したいか選択肢を与えたりしましょう。従業員自身が学ぶべきスキルに合致した教材を知っているかもしれません。それらを選択できるようにすることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
3. 全員に学習・能力開発の機会を提供する
自分の強みを自覚していない従業員や、興味のある仕事があっても意識的に知らせなければならない従業員がいるかもしれません。次のような方法で、より多くのナレッジを社内に広めることができます。
全従業員がアクセスできる学習リソースのデジタルナレッジベースを作成する。
誰もが参加できる、有益なランチ&ラーニングを開催する。
貴社ビジネスや業界に関連するトピックについてのゲストスピーカーを招く。
4. 進捗を測定し、トレッキングする
新しい実践学習の機会や戦略を導入する際には、結果をどのようにトラッキング・測定するかを決めましょう。他のビジネス戦略と同様に目標、つまりどのKPI(重要業績評価指標)を検討するか(いつ、どのように測定するか)、そしてそれを見直した時に取るべき次のステップを検討します。
従業員アンケートは、従業員との関係性を確認し、プログラムを改善するためのアイデアにつながるフィードバックを得るための1つの方法です。またアンケートは、従業員の関心事に興味を持っていることを示すものであり、従業員が大切にされていると感じることができます。また、従業員のアイデアを実施する際には、その戦略がフィードバックによって直接影響を受けたことを社内に伝えることができます。そうすれば、今後のアンケート調査やトレーニングプログラムへの参加意欲を高めることができます。
従業員を惹きつけ、引き留めるための実践学習の提供
学習と能力開発の機会を充実させることは、企業の成功の原動力となります。求職者はそのような機会を求めており、少なくともハイパフォーマーの何人かは、そのような機会を提供しなければ退職してしまうかもしれません。
良い知らせは、従業員に何を学びたいかを尋ね、スキルの能力開発をキャリアプランに組み込むことで、前向きで影響力のある学習文化を作り出すことができるということです。そして、その取り組みを追跡調査すれば、トレーニング戦略を継続的に改善することができます。
By Degreed, October 25, 2022
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