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外部採用に頼りすぎている可能性があります。社内で育成して流動させる時です。

原文「Chances Are You’re Buying Too Much Talent. It’s Time to Build and Borrow.


大規模で成功している企業の寿命はかつてないほど短くなっています。実際、今日のS&P 500に含まれる企業の半数以上は、20年前には入っていませんでした。

なぜでしょうか?一部の企業は上場非公開になり、一部の企業は合併買収されています。他の企業は伸び悩むか、倒産しています。この傾向は加速しており、S&P 500企業のさらに50%が今後10年間で変わるであろうと推測されています。そして、その予測はCOVID-19が世界経済に与えた壊滅的な影響を含めておらず、非常に控えめな予測である可能性があります。

時代の試練に耐えるために、企業はイノベーションを起こし、継続的に再生する方法を理解する必要があります。そして今まで以上に人材がスキルを構築し、人材を最適化するためのダイナミックで包括的な戦略が、企業の生き残りのカギとなります。

成長への勝利の方程式


スキルがどのように成長し進化するかについてお伝えする前に、時代の試練に耐える企業がどのように成長し進化するかを確認しましょう。それら企業は、新しくてより良い製品やサービスを立ち上げるだけではありません。しばしば、業務提携や買収合併(M&A)などの無機的な戦術に大きく左右されます。組織的成長やパートナーシップ、業務提携、買収合併(別な言い方をすると成長の構築・借用・購入)をバランスよく実施する企業は柔軟で、1つのやり方に固執する企業を上回る可能性が大幅に高くなります。

時価総額における世界4大企業、Apple、Microsoft、Amazon、Googleを見てください。2005年以来、彼らは数兆ドルの研究開発費、大規模なパートナーエコシステム、数百件に及ぶ買収を背景に、年間平均25%という目を見張るような成長を遂げてきました。これは、ほぼすべての基準で驚異的であり、重要な疑問を浮き彫りにします。それは他の多くの企業が道を誤ったのに、どうして成功したのかということです。

成功要因を1つに限定することは難しいですが、これらの企業のそれぞれが、今持っているリソースとこれから成長するために必要なリソースとの間のギャップを正確に把握することにおいて世界トップクラスであることは明らかです。実際、そのギャップを評価することが、成長戦略の成功を決定づける上で最も重要な要素であることが示されています。

企業の最も価値のあるリソースである従業員に関して、人材の構築・借用・購入という視点は、人材について考慮する時にも役立ちます。「人的配分は財務的配分と同じくらい強力である」と、CFOとCHROとの緊密なパートナーシップで将来の課題に対応するための適切な人材を確保しているAon社CEOのGregCase氏は述べています

貴社の人材戦略は時代遅れの可能性がある

企業の人材戦略での構築・借用・購入の戦術は、業界、ビジネスモデル、成熟段階などの複数の要因に応じて大きく異なります。まずは各戦術を定義することから始めましょう。

購入:フルタイム正社員と派遣社員の獲得を含む、外部からの人材調達、新卒採用、中途採用を指します。

構築:アップスキルとリスキルの取り組みによる従業員の育成を指します。

借用:ジョブローテーション、ストレッチアサインメント、社内ギグワークなど、社内での登用とキャリアモビリティの取り組みを指します。

ほとんどの企業で、外部からの採用が多くの予算を占めていることは誰も驚かないはずです。20年以上前にマッキンゼーによって最初に説明されたように人材獲得競争は、どんな犠牲を払ってでも最高の人々を見つけて雇うことに焦点を合わせました。これは一種のゼロサムゲームです。


SHRMのデータによると、年間推定6,600万の求人があり、HRテクノロジーへの年間200億ドルの支出の大部分は人材獲得のためです。従業員1人あたりのコストに換算すると、外部採用者1人あたり平均4,400ドル以上が必要であり、社内候補者の約2倍のコスト、学習プログラムへの平均年間投資額の3倍以上にもなります。

多くの場合、外部からの採用費用は、急成長を目指す企業や、多様性の不均衡を解消しようとする企業、または専門的なスキルや経験を持つ人材登用を必要とする重要な戦略的転換に取り組んでいる企業にとって意味があります。しかし一般的に、外部採用への過度の依存は悪手です。

外部採用コストは採用時だけにとどまりません。多くの研究が、社内採用、キャリアモビリティ構造、アップスキルなどの代替戦略と比較して、外部採用にはより多くの費用が必要であり、時間がかかりリスクが高いことも示唆しています。

外部採用費用はより高価外部採用費用は内部採用より18%~20%高くなります。なぜでしょうか?これは、外部採用者の方が経験豊富なことが多いためです。しかし、経験豊富ということが必ずしも成功のカギではありません。

外部採用に時間がかかる:面接プロセスの完了までに平均約22日がかかります。さらに実際に外部候補者を採用するには平均39日~43日かかります。

外部採用はより多くのリスクを伴う:外部採用された従業員の最初の2年間は、同様の職務に社内から配属された従業員と比較して、パフォーマンス評価が低くなります。さらに、外部採用社員の20%が1年以内に退職します。また、外部採用社員は、内部配転社員よりも、解雇される可能性が61%高くなっています。外部採用社員は、その仕事は自分が望んでいたものではないことに気づいたり、マネージャーとの関係がよくできなかったり、あるいはうまくオンボーディングできなかったり、トレーニングされなかったり、馴染めなかったりすることがよくあります。このことは、企業側と従業員側がお互いにすでによく知っている社内人材を新しい職務に配転する時に発生する可能性は低くなります。

これらの要素を総合すると、先見の明があるHRリーダーは、戦略のバランスを取り直し、人材の構築と借用というポイントにさらに重点を置くようになります。


新しい仕事の世界


仕事の世界がどのように進化しているかを詳しく見ていくと、企業が人材戦略に対してよりバランスの取れたアプローチを形成することに重点を置いている理由が明らかになります。

従業員の優先順位の変化:いくつかの調査で、成長と能力開発の機会提供は、報酬以上に従業員にとって重要性が高くなっています。Gallup社によれば、これは特にミレニアル世代に当てはまるといいます。ミレニアル世代の大多数はキャリアモビリティと仕事で学べる機会を重要視しており、他の世代と異なっています。そうであるにもかかわらずミレニアル世代のたった39%しか、過去30日間に仕事に役立つ新しいことを学ぶことができたと同意しませんでした。このことから得られた企業の教訓は何でしょうか?それは、従業員の育成についてもっと積極的になる必要があるということです。


新しく再設計されるジョブアーキテクチャ:1人の従業員を1つの仕事へあてがうという従来のモデルから、スキルがどのように機能するかをよりよく理解し、よりアジャイルなモデルに変化しています。例えば新しいジョブモデルでは必要に応じて適切な人員をプロジェクトに割り当てます。グループメンバーはプロジェクト期間中のみ協力することを理解した上で、全員が異なる部門から集まります。プロジェクト後、グループは解散し、新しいプロジェクトのために他のグループに参加するか、通常の職務に戻ります。刺激的な1つの例として、ヨーロッパのITサービスプロバイダーであるAtos社は、このモデルを使って実際のプロジェクトのエンゲージメントを加速しました。

進化する管理:官僚的ではなく、機敏で、誰もが学び、イノベーションを起こし、繁栄する機会を与えられる職場環境を構築しようする傾向が非常に高くなっています。例えば、アディダス社は数千人の現場の小売店の従業員に、ビジネスイノベーターのように考える方法をトレーニングしました。それからアディダス社は従業員の考えを求めました。その後、同社は何千ものアイデアを発展させ、オープンな会議で共有しました。一部の従業員にとっては、これほど仕事に熱中し、刺激を受けたのは初めてのことでした。

アップスキル:テクノロジーの進歩とビジネスの進歩による急速な変化は、新しいスキルの習得がキャリアにとって重要であることを意味します。リモートワークの新しい現実に取り組む場合でも、一時帰休または解雇従業員に新しいスキルを学ぶ機会を提供する場合でも、世界中の何百万人ものそれらの人々が、適応性、回復力、成長マインドなどの新しいスキルが最も重要であることを学んでいます。

それはすべて非常に説得力のあるものです。これらの傾向により、企業は従業員への投資、成長、管理の方法を再考する必要があります。

つまり、今後10年間の人材戦略は、過去10年間通用していた戦略とは異なるでしょう。


今の成功に導いてくれた方法が、今後の更なる成功をも導いてくれるとは限らない


歴史的に低い失業率に直面することはなくなり、COVID-19によって一見スキル不足が緩和されたように見えるかもしれませんが、新しいスキルに対する需要の高まりは、単に外部から採用するだけでは、以前ほどうまく通用しないことを意味します。私たちは、企業組織が人材サプライチェーンの視野を広げ、新しい運用方法を取り入れなければならないという新しい時代に突入しています。

競争上の優位性とキャリアモビリティを解き放つために、ますます多くの企業が従業員を第一に考えています。

2020年7月、マッキンゼーの研究者は、企業が「アップスキルと再トレーニングアプローチを刷新し、戦略的な人員計画にアジャイルアプローチを採用する」ことを推奨しました。意図は明確でした。人材パイプラインを展開するために異なるアプローチを取り、アップスキル、リスキル、キャリアモビリティを中心としたアプローチを採用する必要があります。

言い換えれば、まさに人材の構築・借用する時です。

これらの激動の時代において、アップスキルとそれがもたらすアジリティ戦略は、シニアビジネスリーダーの間でかつてないほど大きくなっています。実際、年間収益が1億ドルを超える企業のグローバルエグゼクティブの82%は、このアプローチがスキルギャップに対処するための回答として予測しており、外部採用の場合は30%しかありません。


スキル習得と能力開発に対するこれらの変化は、学習科学の進歩や戦略的人員計画からもたらされたものではありません。むしろ、従業員を評価し、投資するための新しい青写真の出現によって推進されています。


新しいスキルの運用モデル


人材を効果的にアップスキルし、能力開発している企業は、外部リソースではなく内部リソースを重視する新しいアプローチを採用しています。

この新しい運用モデルは、従業員の学習、スキル、オポチュニティに注目するデータ/ツール/プロセスを中心にデザインされています。では、企業がこの新しい構築・借用モデルを機能させるには何が必要ですか?

まず、この新しいモデルの最初のステップでは、社内の人材供給プールを把握する必要があります。従業員の所有スキルと経験をまとめることは非常に重要です。

次のステップは、将来のスキルニーズ、具体的には従業員が自社ビジネスを推進するために必要な重要なスキルを把握することです。COVID-19の中で、これはこれまで以上に重要です。さらに、これが継続的で柔軟な方法で行われることが重要です。

IBMの元CHROであるDiane Gherson氏は、次のように述べています。「ビジネスがアジャイルモデルに移行し、新しいテクノロジーを採用して、仕事の性質を飛躍的に変化させるため、スキルをリアルタイムに測る仕組みが必要です。もしこの環境があれば、戦略的人員計画は不要のものとなります。」

次に、企業はツールとリソースへのアクセスの利便性を提供する必要があります。従業員が必要とする、そして企業も必要とするスキルを構築して適用するためです。キャリアとコンピテンシーモデルに基づく、トップダウンな伝統的な企業内ユニバーシティの時代は終わりました。

Degreedの調査によると、ほとんどの従業員は、現在の職務でより良い業績を上げ、キャリアを向上させるために必要なスキルを知っています。世界的な鋼管製造企業であるTenaris SA社は、30か国の22,000人の従業員に、学習とキャリアモビリティの権利を与え、エンゲージメントとスキル開発にメリットをもたらしました。

しかし、スキルを構築するだけでは十分ではありません。真のビジネス価値の創造は、従業員の学習がオポチュニティにつながる時に起こります。これは、新しい人材運用モデルの根幹です。そして、企業が従業員スキルとスキル開発を、新しいタイプの仕事を従業員が探求するための継続的なリアルタイムの社内プロジェクトなどのオポチュニティに結び付ける社内マーケットを確立する時、本当に現実のものになります。

社内タレントマーケットプレイスでは、企業は人材を迅速にプロジェクトなどのオポチュニティに割り当て、必要に応じて適切な人材を適切な職務に配置できます。それはアジリティを可能にし、強力なチームを構築することができます。多くの点で、キャリアモビリティの取り組みを成功させるには、従業員を見て、細かく取り組む必要があります。

この考え方を採用している企業の良い例は、BMO Financial Groupです。同社の目標は、「より迅速に、仕事とスキルにマッチする従業員を配置する」と、同社がスキルに基づいて人材の需要と供給を戦略的にどのように捉えているかをCLOのGina Jenereux氏は述べています。

同様に、Credit Suisse社は、Internals Firstと呼ばれる取り組みを実施し、数千万ドルのコスト削減を予測しています。このプログラムでは、採用担当者が社外へ公募する前に社内の候補者に連絡することが義務付けられていました。そうすることで、Credit Suisse社は、社内再配置を通じて、2016年には40,000人を超える従業員のうち10%以上を新しい職務にシフトしたと報告されています。


貴社の文化が導く


将来、長期的に成功する企業は、人材の能力開発に対してバランスの取れたアプローチをとる企業になるでしょう。

企業内で学習、アップスキル、オポチュニティ、キャリアモビリティの効果的な企業文化を形成するには、必要なビジョンと変化に全従業員が確実に同意するために必要な投資を経営層が検討する必要があります。

企業の経営層がスキル開発を支援することは、効果的な学習文化を構築する最高のレシピです。従業員は、個人の成長を理解して受け入れてくれ、個人のキャリア目標を設計でき、成長でき、達成できることを感じる必要があります。また、マネージャーは、人材が会社全体でより自由に配置できる考え方に同意し、自分のチームを超えて、その従業員が持つスキルを利用したいチームをサポートする必要があります。

そして、貴社の長期的なビジネス戦略で何を目指していようとも、次の大きなマイルストーンに到達するまで会社が生き残り、繁栄することが重要です。

今まで以上に、貴社が新しい課題を克服し、競争力を維持できる新しい人材運用モデル(能力開発をサポートし、キャリアモビリティを解き放つ戦略)が重要となることは明らかです。

By Josh Painter, VP, Strategy And Corporate Development

September 17, 2020

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