次の一般的なシナリオを想像してください。組織のマネージャーがパフォーマンスの問題があると感じたため、マネージャーはトレーニングデザイナーにeラーニングコースを作成するように依頼します。あなたはこのまま要望を受け入れますか?それとも要件を調査するためにさらに掘り下げますか?
トレーニングの専門家として、このeラーニングが本当に必要かどうかを判断するのはあなたの仕事です。効果的で有意義なトレーニングを設計するための鍵は、パフォーマンスのギャップがあるかどうかを確認することです。もちろん、パフォーマンスのギャップが知識とスキル不足以外の何かに起因する場合、トレーニングは効果を発揮しません。トレーニングへのリクエストを額面どおりに受けてはならないのは、このためです。徹底的なトレーニングニーズ分析(Training Needs Analysis:TNA)を行い、実際に何が問題なのかを明らかにします。
職場でのトレーニングニーズ分析を完了するために参考になる簡単ないくつかの手順を次にご紹介します。
あなたはWidget Incorporatedという会社のトレーニングデザイナーだとしましょう。コールセンターの従業員がコールセンター業務を迅速にできるように、コールセンターの従業員向けのトレーニングを設計するように求められました。
ステップ1 期待されるパフォーマンスを定義する
最初のステップは、コールセンター従業員に期待されるパフォーマンスがコール処理の何であるかを正確に特定することです。従業員が期待されている標準規約・手順は何ですか?この情報を見つけるには、もう少し詳しく調べる必要があるかもしれません。人事担当者やマネージャーにインタビューし、標準操作手順や企業ガイドラインなどの記録を調べる必要がある場合もあります。
Widget Inc.のガイドラインでは、コールセンターの従業員は顧客からの電話を5分以内に処理するように定められており、従うべき手順がリストされています。
ステップ2 現在のパフォーマンスを特定する
トレーニングニーズ分析の次のフェーズでは、従業員が実際にタスクを実行している方法を洗い出します。どうすればこの情報を見つけることができるのでしょうか?従業員、監督者、マネージャーへのインタビューだったり、パフォーマンスレコードなどの記録やドキュメントで見つけることができます。現在のパフォーマンスを確認するもう1つの重要な方法は「観察」です。
あなたはWidget Inc.のコールセンター従業員の業務状況を観察し、会社のドキュメントに記載されている5分間の標準時間ではなく、平均7分間でコールを処理していることを発見します。
ステップ3 パフォーマンスギャップがあるかを特定する
期待されるパフォーマンスと現在のパフォーマンスが得られたら、2つを比較して対比します。従業員がどのように実際に仕事をしているのかと、従業員がどのように仕事をすることになっているのかを対比して見てみましょう。ここでの目標は、現在のパフォーマンスと期待されるパフォーマンスの間にギャップや差異があるかどうかを明らかにすることです。
Widget Inc.で期待されるパフォーマンスは、5分間でコールが処理されることです。実際のパフォーマンスは、コールが7分で実行されていることです。これは、このタスクのパフォーマンスに2分のギャップがあることを示しています。
ステップ4 パフォーマンスギャップの原因を特定する
このステップでは、パフォーマンスギャップを引き起こしている原因をブレーンストーミングする場所です。次のようなパフォーマンスに影響する多くの要因があります。
知識とスキル
モチベーション
インセンティブ
身体的および精神的な能力
適切なツールと装置
指示方法またはガイダンス
フィードバック
トレーニングは、知識やスキル不足が原因である場合にのみ、パフォーマンス問題を解決できます。たとえば、適切なツールの不足が問題の原因である場合、トレーニングでは問題を解決できません。パフォーマンスの問題の真の原因を見つけるには、調査を行う必要があります。どのパフォーマンス要因が問題を引き起こしているかを明らかにするために、観察し、インタビューし、会社の記録を調べ、調査を通じて明らかにできるものを確認する必要があります。
Widget Inc.では、コンピューターシステムが非常に遅く、コールセンター従業員はコンピューターシステムがデータをロードするまで2分間待たなければならないことがわかりました。トレーニングは従業員がコール業務を迅速に完了するのに役立つのでしょうか?いいえ。2分間のパフォーマンスギャップの原因は、従業員のパフォーマンスではなく、コンピューターシステムの遅さです。この場合、コールの処理方法に関するトレーニングを設計・提供しても、問題は解決しません。一方、より高速なコンピューターシステムを導入すれば、2分のギャップは解決します。
ステップ5 トレーニングソリューションを提案する
ここでは、管理者にトレーニングソリューションを提案するプロセスです。パフォーマンスギャップが、知識やスキル不足が原因の場合でのみ、トレーニングソリューションを提案することができることに注意してください。トレーニングには様々な形式があります。eラーニング、集合研修トレーニング、ジョブエイド、eマニュアル、標準操作手順(SOP)、オンザジョブコーチングは、すべて異なるトレーニング形式です。トレーニングが必要だからといって、eラーニングコースが必要なわけではありません。場合によっては、短い実習チュートリアルや、1ページのジョブエイドで十分な場合があります。
このシンプルな系統的な5つのプロセスが、次回あなたがトレーニングリクエストを受け取った時に、真の要件が何かを理解するのに役立つことを願っています。トレーニングニーズ分析に関するその他のヒントやトピックについては、次の記事をご覧ください。
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